ED治療に悩んでおられる方から寄せられる質問のなかでも、「ED治療薬はいつまで飲み続ければいいのか?」というのは、比較的よく見かけます。これは専門家の間でも意見が分かれており、解決が難しい問題のひとつです。今回は、これに対してある一定の見解を示す最新の報告をご紹介します。
慢性投与をラットで再現
今年開催された日本性機能学会の学術総会において、上記の質問に対する最新の研究発表がなされました。ラットを用いてED治療薬(PDE5阻害剤)の慢性的な投与がもたらす効果を調べる実験です。人工的にEDと同じ状態をつくりだしたラットを使い、レビトラに含まれる成分であるバルデナフィルを、3週間経口投与させ、その後、2週間投与を中止した後で、海綿体内圧や組織の機能を観察し、ED状態のまま何も与えなかったラットと比較する、という方法で行われたそうです。それにより、興味深い結果が得られました。
ラットで証明された機能の温存
実験の結果、バルデナフィルを3週間連日投与し、その後、2週間投与を中止したラットの海綿体には機能が残っており、勃起が可能であったことが判明したのだそうです。これにより、いくつか限定的な要素はあるものの、一定期間バルデナフィルを飲み続けることで、何もしない時間(治療放置期間)がある程度経過した後であっても、勃起できていた期間の性機能が温存されることが証明されたのです。
人間に置き換えるた場合の投与期間は?
この実験はラットなので、バルデナフィルの投与期間である3週間という時間や、何もしなかった放置期間(2週間)を、そのままの時間の長さで人間に当てはめることはできないため、少し注意が必要です。同研究発表では、ラットにおける3週間という投与期間は、人間に置き換えて計算すれば「年単位」という期間に相当するだろうとの見通しが示されていました。この期間を長いと見るか、短いと捉えるかは人それぞれかもしれません。しかし、冒頭での「一生飲み続けなければいけないのか?」といった疑問に対しては、一定の可能性が科学的な証拠とともに示されたといえるのではないでしょうか?
勿論、最終的には人間で実証しなければ絶対的なことは言えませんし、他のED治療薬に用いられている成分ではどうなのかについては、まだ実証がされていません。しかし私たちはこの結果から、ED治療薬は一生飲み続けなければいけないのだと決め付けるのは間違いであり、それは単なる見解の相違ではなくて、科学的データに基づいて否定できることなのだと認識しなければならないのではないでしょうか。