勃起不全(ED)が、心臓発作や脳卒中などの心血管障害のリスクを高める強力な警告サイン(徴候)であることが、アメリカの長期研究によって示された。今回の研究は、EDと心血管疾患の関連性を指摘する新しい研究だそうです。
EDから動脈の血流状態を予測
マサチューセッツ州のニューイングランド研究所疫学部長Andre Araujo氏の研究によれば「年齢とやリスクファクター(危険因子)を考慮に入れて結果を微調整しても、男性のED患者ではリスクが40%高かった」と報告しています。これは、心臓や脳への血流を減少させる動脈が遮断されることで、ペニスへの血流も減少させることになりうると予測可能だからだと指摘されているとのことです。
ED受診者に心血管系の精査を
同氏らは今回、40~70歳の男性1057人を対象に、12年間の追跡調査を実施。全体で、EDである被験者では37%が、心臓研究の国際的な判断基準に照らして判断すると、高リスクに分類され、EDではない男性における高リスク群は17%であったとのことです。調査結果からAraujo氏は「EDの男性が受診した場合、医師は心血管疾患についても精査すべきである。医師が質問しても患者が自己申告しても、どちらも予防治療につながり、結果的にはそれが命を救うこともある」とコメントしているそうです。
EDは泌尿器科だけの問題ではない
日本性機能学会で行われた最新の学術総会でも、同様のことが1つの研究報告のみならず、異なった専門分野をもつ複数の医師や研究者による講演の中でも、しきりに指摘されていました。もはやEDという疾患は、泌尿器科の中の性機能だけに限定すべき病気ではなく、心臓や脳、血管、臓器など、全身に影響を及ぼす、あるいは全身的に影響のある他の疾患によっても引き起こされうる病気だ、という認識へと変えていくべきではないだろうかという指摘です。つまり、今までよりももっと広い視野でEDの発症、原因、治療を捉える必要があるだろうという考え方であり、上記のAraujo氏らの研究結果とも一致した新たな警鐘なのです。今後はより一層、日常生活における健康管理の大切さが叫ばれることになるでしょう。