- 人物紹介:順天堂大学医学部附属 順天堂医院 医学博士 久末伸一
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順天堂大学医学部附属 順天堂医院で「メンズヘルス外来」、また、メンズヘルスクリニック東京にて男性更年期(LOH症候群)に取り組んでおられ、メンタル、性機能あらゆる分野で悩む男性患者さんのために日々向き合っておられます。
メンズヘルスクリニック東京
http://www.menshealth-tokyo.com/
順天堂大学医学部附属 順天堂医院
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/
女性が知りたいパートナーのED事情 vol.3
第2章 緊張しない環境を作るのは女性の役目
久末伸一医師(以下、久末):はい、あとは例えばですね、これはあまりきちっとした科学的根拠というのは無いんですけれども。
妊活カップルとか若いご夫婦に多いのは、ご主人にストレスがかかっている緊張した状態でのセックスですね。やはり交感神経が昂る状況っていうのはよくないんですよね。
三松真由美(以下、三松):交感神経が昂る。なるほど緊張というのはそういうことなんですね。
久末:はい。交感神経と副交感神経というのはいつもシーソーのようにバランスを取っているものですから、交感神経が重くなると副交感神経が軽くなってしまって、というバランスがあるんですよね。ですから交感神経が昂る状況というのは勃起もしづらくなりますし、射精も早漏気味になってしまったりするようなところがあるんですね。
三松:パートナーが一瞬で射精してしまって、不満が残る女性も数多いのですが、そういう原因もあるのですね。
久末:ですから、これは本当に科学的な根拠があってっていうわけではなくて、交感神経の刺激になるような物を出来るだけ排除してくださいというアドバイスをするんです。ひとつとしてはお部屋の灯りをすこし暗くする。落ち着くように。
体位にしても、男性がこう主導権を握るような正常位ですとか、そういった体位というのはどうしても攻めるぞ!という形になって交感神経を昂らせてしまう可能性がありますので、中折れの原因になると思うんですね。
三松:ふむふむ。なるほど。これは私の著書に今後書かなくては!
久末:リラックスして男性が受容れるようなタイプの、例えば女性上位のような体位であれば、中折れになりにくい体位として推奨していますね。
三松:久末先生、推奨なんですね。素晴らしい!攻めるぞ感を取り払うために女性上位が良いんですね。
久末:はい。
三松:いろいろうかがってよく分かりました。
リラックスさせる、緊張をしないように、交感神経を昂らせないよに、そういう工夫を女性はしなければいけないということが。
久末:そうですね。
三松:パートナーのEDを克服してもらうために女性に出来ることはたくさんあるわけですよね。
久末:そうですね。二松先生から言われるまで女性目線でというのはあまり考えたことがなかったんですけれども、改めて考えてみますとそういったことが言えるんじゃないでしょうかね。
三松:あのですね女性の性の欲求について語ってよろしいでしょうか。
熊本悦明先生も驚かれましたが、学会やセミナーで「女性の性の欲求」について現状をふまえてプレゼンしますと、ご高齢の先生がたからはこう言われます。
「子どもを産んだ女性に性欲があるなんて思っていなかった」と。
私はもう「え~!?何言ってんですか!」と声を荒げていつも怒ってるんですけど(笑)
私は女性の性欲っていうのは40代からこう(片手を上に、もう片方の手を下にして「差」を示しながら)、二極化すると思うんですよ。
久末:うーん(頷き)。
三松:(上にもっていった手を示して)こちら側の人が特に相談に来るわけですけど、もう切実です。20代の女性の比ではありません。
久末:多分ですね、これも実は女性の性欲もホルモン学的にいいますと、女性の性欲をドライブしているのも実はテストステロンなんです。
三松:そうですよね。
久末:はい。ですから多分、閉経後に性欲が多くなる方というのは、副腎から産生されるテストステロンがもともと多い方なんですね。で、そういった方はテストステロンが高いので性欲も多いです。しかも、閉経後も女性ホルモンは必要なんですよ。閉経後は卵巣がもう全く機能していないので、閉経後の女性の微々たる女性ホルモンを維持してくれているのは何かというと、実は男性ホルモン、つまりテストステロンなんです。
三松:そうなんですね。
久末:アロマターゼっていう酵素で、男性ホルモンから女性ホルモンであるエストロゲンに変えられているんですね。
三松:はい。
久末:男性はずっとテストステロンが枯渇しません。(分泌量は)減りますけどありますので、ずっと女性ホルモンに変換されたままなんですね。
ですので、ここで有病率の差が出てくるんです。例えば骨粗鬆症なんかは、圧倒的に女性に多いです。これはどうしてかというと、実は骨というのは女性ホルモンを養分にして維持される、という側面があるわけです。
ですから女性ホルモンの量が凄く重要なんですけど、男性の場合は、アロマターゼによって女性ホルモンに変えられる男性ホルモンが、ずっと枯渇しないでありますから。
三松:なるほど。
久末:女性で骨粗鬆症になりやすい人、なりにくい人というのは、まだきちんとしたデータ出てないんですけれどもね。
おそらく、副腎から出ている男性ホルモンがもともと高い方というのは、その微々たる男性ホルモンを女性ホルモンに変換して体を栄養しているので、骨も丈夫なのだと思います。
あと実は脳にとっても女性ホルモンはすごく重要で、認知脳にも関係があります。ですからアルツハイマーが閉経後の女性に多いというのは、それがひとつの原因なんじゃないかというふうに言われているんです。
三松:はい。そうなんですね。
久末:二松先生がおっしゃったような性欲が高い方というのは、テストステロンが高くて、女性ホルモンも副次的に他の人よりはちょっと高いですから。そうなると骨も丈夫、脳も丈夫で長生き、お元気なんだと思います。
さきほど二極化するというお話ありましたけども、その二極化したうちの元気なほうのですね、例えば韓流スターを追いかけるような熟年女性がたいうのは、やっぱり元気で長生きで健康なんだと思います。
三松:なるほどね。さて、なぜ性欲が二極化するかというので、私の見解もお話しします。
いまテストステロンのお話もありましたけど、私はそれプラスですね、40代までの性の開発度っていいますか、自分の身体、セクシャルポテンシャルをパートナーにどれだけ開発されたかというファクターはかなりの鍵だと考えています。
もうひとつは自己開発、「性の自立」って言ってるんですけど、マスターベーションしたり、性の世界に凄い興味をもって本やネットで情報を取り入れたり。映画や動画を観たり、官能コミッックを読んだり。いろんなアダルトグッズを使ってみたりとか、「性の自立」がどれだけ出来てるかにもよると思います。
だから、自分の過去の性のプロセスで。いいエッチをしてこなかった方というのは、子供をを2人産んだ時点で、「もう卒業。全然したくない。イヤだそんな。気持ちよくないものなんでしなくちゃいけないの」というのでセクシャルポテンシャルがバーンって下がるんですよね。ただ、旦那さんにしても彼氏にしても元彼にしても、すごい性に関心があり好奇心おう盛な男性に自分の体を開発された女性というのは、たとえ今の旦那さんが下手っぴぃでも(失礼・・)、前の彼氏に開発されていたとすると、グイっと上にいきます。
久末:なるほど。
三松:でも今の旦那さんがひとりよがりの俺様セックスしかできないかただったり、EDだったりすると、もう己の性の欲求を封印できなくて悩みに悩んだすえ、泣きながら私のところへ相談にいらっしゃるわけです。
久末:そういうギャップがやっぱり生じてしまうんですね…
三松:いかに自分が性の世界や自分の性器官に興味があるかが重要です。
官能小説とかセクシーな映画とか観たりして、性の世界のほうに意識が向く女性っていうのはやっぱりこうなります。(手で「上昇」「グイっと上向く感じ」を示す)
久末:なるほど。
三松:私が調査した結果ではオーガズムを知らない女性というのも4割くらいいたんですよね。つまり子供はいるけれども、オーガズムは知りませんという。オーガズム知らなくても妊娠はします。
ただ、そういう方たちは子ども産んだらもう「あんな気持ちの悪くてめんどくさいことしたくない!」ってなっちゃう。セックスが痛くて気持ち悪い人たちっていうのは、オーガズムを知らないからなのかもしれないと推測できるのです。
ちなみに、旦那さんへの愛情が失せて「夫とは、したくない。」というかたもいますが。私はまさにそのタイトルの本を書いたくらいですし、爆発的なアクセスをあげた 『40代から二極化する、妻たちの性に対する本音』 という記事なども書いておりますので、参考までに是非ご一読いただけると、より理解して頂けるのではないかと。
久末:ありがとうございます。そうですね。きっと先程のお話のように、男性側の前戯がどれほど大事なのかとか、そういった認識がない男性との性交しか経験がない女性ですと、セックスへの認識もそうなってしまうのでしょうね。
三松:男性も決してうまい人ばかりじゃなくて、本当に相手の事を考えないセックスしかしない旦那さんというのが実際にいます。先ほど私が言った「インスタントセックス」みたいなことです。もうパパッとパジャマの下だけ脱がしてチョロッとやるみたいな。性の欲求が高い妻たちはそんなセックスじゃ嫌だと言います。
久末:そうですよね。我々としてもこう、男性に“正しいセックス”というもの啓発していかないといけませんね。
三松:そうなんですよ。40代以降の女性で性欲がまったく無くなってしまっている方は、もうあまりそこは悩まないんですけれど、ただやはり勿体ないなっていうのはありますよね。40代くらいで、「もうそんな、しなくていいです」って方々がいっぱいいらっしゃるので。
久末:そうですよね。
三松:そういうのって、どうなんでしょう?女性ホルモンがあまり分泌されなくなってしまうんでしょうかね?40歳くらいからセックスをしなくなってしまうと。
久末:女性ホルモンの分泌がどうなるかという事についてはあまり僕自信は詳しくないんですけれども、ただですね、性交自体でテストステロンが上がってくるというのは男性ではある現象ですよね。ですから定期的に性交して、というのはある意味、良い事だと思うんですよね。
三松:私、身体に良いと思うんですよ。だから私は40歳を過ぎてもセックスしましょうね!という派なんですけどね。
久末:うん!もちろんそこは私もそう思いますね。
三松:気持ちも違いますよね。オキシトシンも出るのですよね。癒しホルモンの。
久末:ええ、そうですね。