当サイトでも警告をしている偽造ED治療薬。従来、偽造医薬品は資金的に正規薬品を購入することが難しい発展途上国の問題であることが多かったのです。しかし近年、ED治療薬の開発とともに、先進国でも流通が始まり、世界規模での問題となっています。
偽造医薬品、ほぼ全てが偽造ED治療薬
WHO(世界保健機関)によると、全世界の偽造医薬品の市場規模は2010年で約750億ドル(約5兆7500億円)とみられ、日本の年間の医薬品生産額とほぼ並ぶまでになっているそうです。
日本国内では、偽造ED治療薬をインターネット経由で購入するケースが大半とのこと。財務省によると一昨年に税関で差し止められた偽造医薬品は約4万点。その偽造医薬品のうち、ほぼ全てが偽造ED治療薬だったそうです。
覚せい剤入りED治療薬!?
偽造医薬品の中でも、偽造ED治療薬は正規品と偽造品を外見だけで見極めるのは非常に難しい上、正規品の成分を含む偽造品もあるそうです。そして、中には覚せい剤やネズミ駆除用のホウ酸団子、不凍液などの成分が混入していたケースもあるというのですから事態は深刻です。またこの他の実被害としては、インターネットで偽造ED治療薬を購入した男性が死亡した事件や、22年6月には意識障害の発生例が報告されています。
被害の実態は掴めず
もっとも、このような健康被害が表面化するのは、命に関わる重篤なケースのみだそうです。昨年、製薬会社4社が行った調査によると、ED治療薬をインターネットで購入した30代以上の男性のうち、42.8%が頭痛や火照り、動悸などの副作用と見られる症状を経験したと回答したそうです。この数字は正規品の臨床試験よりもはるかに多いものです。更に偽造ED治療薬を摂取後に何らかの異常を感じても、恥ずかしくて病院に行けない人が多く、被害の実態が掴めていないのが現状です。
バイアグラを製造販売するファイザー(東京都渋谷区)の池田哲也セキュリティ・オフィス部長は「積極的な摘発で偽造医薬品を供給する“蛇口”を閉めることが重要。官民で情報共有し、継続的に対策を行えば健康被害も減少していくはず」と対策の重要性を指摘しています。