マウスED(勃起不全・勃起障害)治療薬を製造・販売する4社が日本人向けのインターネット薬局を調査したところ、95%が不正サイトであり、こうしたネット薬局から入手する医薬品は偽造品や商品が劣化している可能性が高いと分かったようです。

昨年秋、世界の4製薬団体(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)がネット薬局の監視・認証サービスを行っているレジットスクリプト社に依頼しグーグルとヤフーの検索エンジン上で検索を行い、該当したネット薬局3636店について、販売実態などを分析した結果、処方箋医薬品を販売または販売を促すサイトは1836あり、そのうち95%は処方箋なしで販売していたり、犯罪組織から医薬品を輸入している不正サイトだったようです。

偽造薬品の恐怖
こうした不正サイトの偽造ED治療薬について異物・微生物検査を行ったところ、約半分から黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの病原菌が検出されたそうです。ファイザーの池田哲也セキュリティ・オフィス部長は「偽造薬の多くは中国の工場など不衛生な施設で作られている。有効成分を含まないだけでなく、病原菌で汚染されている可能性もある」と指摘。

海外では偽造ED治療薬の服用による死者も出ており、日本でも昨年、偽造ED治療薬の服用で重篤な低血糖症を起こした40代の男性の報告があります。男性は意識がもうろうとした状態で運び込まれましたが、偽造ED治療薬を服用したことは話さなかったそうです。
「当時はEDの偽造薬があることを知らなかった。検査しても低血糖の原因が分からず、詳細な問診のし直しでようやく分かった。もし原因が分からないままだったら、治療が遅れて死亡した可能性もあった」と振り返ります。このように偽造ED治療薬は効果がないだけでなく、重篤な健康被害も起きているため、先月、世界の4製薬団体は取締まりの強化を求める共同声明を出しました。

偽造薬品から身を守る
不正サイトについて、警察庁は発信元のサーバーが置かれている関係国などにサイトの削除要請に乗り出していますが、削除された数と同じ数だけ新たな不正サイトができるなど、完全排除は難しいのが現状のようです。日本でED治療薬は、日本では医師の処方箋がないと購入できない医療用医薬品であり、日本の薬局がネットを通じて販売することは出来ませんが、海外に開設されたネット上の薬局からは簡単に個人輸入が出来てしまいます。
しかし個人輸入の薬で健康被害が起きても、被害救済制度は使えません。健康被害に遭わないためにはED治療薬をネットで購入しないことです。