繋がれた手現在、日本は「5人に1人が高齢者」となり「超高齢社会」に達しています。社会活動の第一線から退く高齢者が多い中で、性生活を楽しんでいる人も少なくありません。人が誰でも生まれつき持っている「性的に幸せになる権利」を「セクシャル・ライツ」といいます。この考え方で大切なのは「こうありたい」と願う自分の気持ちを、高齢者が生きがいと捉え直して、充実した人生設計に役立ててもらうことだと思います。

65~69歳男性の18%は月2~3回の性交
日本性科学会・セクシュアリティ研究会が、配偶者のいる40~70代の男女1000人を対象に、1999年10月~2000年3月にかけて行った調査によると、高齢者と呼ばれ始める65~69歳男性のうち、週2回以上性交をする人は2%だったそうです。
それ以外の頻度では、
週1回=7%
月2~3回=18%
月1回=12%
年数回=27%
この1年なし=35%

同年齢層の女性では、
週2回以上=0%
週1回=8%
月2~3回=20%
月1回=8%
年数回=23%
この1年なし=43%

この年齢に近い方は、ご自分の実績と比べられると興味深いと思います。調査は配偶者との性交に限定したもので、いわゆる「婚外交渉」は反映されていないようです。

豊かな性生活に必要なのは「基礎体力」
力が有り余っている若いときは、勢いと回数で自分の快感を満たすことが多いでしょう。しかし、中高年になると、回数よりも1回あたりの深さを追い求めるようになります。また、自分の欲求だけでなく、パートナーと一緒に過ごす時間や空間を重視するようにもなります。
高齢者が豊かな性生活を送るためには、食生活や健康管理に注意を払い、基礎体力をつけておくことが大切です。体力と体調に応じて行われる性生活は、適度な全身運動にもなるでしょう。

高齢者の性に対する誤解
この調査からは、年齢を重ねるにつれて、性行動が「ごぶさた」になることが読み取れます。体力低下や健康上の理由など、加齢による影響も大きいでしょう。その一方で「生涯現役」を生きがいに、パートナーとの豊かな性生活を楽しんでいる高齢者も少なくないようです。実際、調査の最高年齢層である75~79歳では、男性の11%、女性の17%が「月2~3回性交する」と回答しています。
人間の性行動に「終わり」はありません。にもかかわらず、高齢者の性については「性欲は加齢とともに衰える」という誤解が一人歩きしているようです。そのため、超高齢社会を迎えているのに、高齢者の自由な恋愛や性行為を蔑(さげす)んだり、呆れたりするなど、高齢者の性を否定的に捉える風潮が根強いのが現状のようです。

世間の目や実年齢を気にすることなく、パートナーとの満ち足りた性生活を楽しんだり、精神的なつながりを大切にしたりするのは素晴らしいことです。性行動による刺激=快感は、最終的には脳で受け止めるのですから、感じ方やその大きさに個人差があるのは当然でしょう。他人の流儀に惑わされず性生活を楽しむ余裕をもちたいものです。

参照元(PCサイト)