総合病院から開業医へ華麗なる転職を果たした医師が、ED治療を行うクリニックや小規模病院の経営を続けるには、私達には思いもよらない、知られざる苦労があるようです。9月に岡山県倉敷市で開催された日本性機能学会の学術総会において、現役の開業医らから診察上の気づかいについて実践事例が発表されていたのでご紹介します。
「恥ずかしい」が大きなハードル
ED治療のために来院してもらう上で、大きなハードルになってしまっているのが、患者側が抱えている「恥ずかしい」という意識。これにより受診への決意が湧かず、来院できずにひたすら悩み続けている男性が少なくないといいます。この「恥ずかしい」という意識は開業医側にとっても大きなデメリットであるため、何とかこれを取り除くべく、患者側からは気付きにくいところで地道な努力が行われています。
待合室のBGMの意外な理由
ED治療で病院を訪れた経験のある人は、その病院の待合室でBGMが流れていたかどうか覚えていますか?実はこれも患者側への気づかいのひとつで、そこには意外な理由が隠されていたのです。待合室にBGMを流すことの目的は、病院にやってきた人の気持ちを落ち着けて、リラックスしてもらい、待ち時間を退屈することなく過ごしてもらうためのもの、と思う人は多いでしょう。しかしある医師からは「診察室で診察を受けている患者さんのため」という意見が聞かれました。
これはどういう事かというと、小規模な病院やクリニックでの診察というのは、場合によっては待合室の人々にまで診察室の声が聞こえてしまうことがあるそうです。それを避けるべく、診察室内での声を掻き消すためにBGMを流しているというのです。もしも診察がまる聞こえの状態であったら、診察を受けている患者さんはとても恥ずかしい思いをするでしょうし、再度来院しようという気が失せてしまうことも考えられます。開業医側としては絶対に避けたい事態であるため、このような工夫がなされることになったのだそうです。
また、この他にも待合室で記入する問診票の字のサイズを小さくしている病院もあるようです。これは記入内容を待合室にいる他の患者さんなどから見えにくくするための配慮のひとつです。
このようにED治療を行なっている開業医は常に患者の立場に立ち、ED治療のハードルを下げるべく、様々な努力や工夫をしているのです。
病院選びの基準のひとつに
待合室のBGMや問診票だけでは、親身な診療を心がけている病院かどうか判断できないかもしれませんが、医師の診療理念を表すバロメーターのひとつとして、覚えておいても損はないのではないでしょうか?患者であれば、できるだけ細やかな気遣いのある病院を選びたいし、そういう病院は自然と患者側から愛されて、リピート率が高まります。患者側への配慮や気遣いというのは、最終的には双方にとってメリットのあることなんですね。