男性の不妊症の原因についてはこれまで、あまり報告がなく、一部で指摘されている喫煙、飲酒、薬物の過剰摂取などとの関連もはっきりとは認められていないようです。そして、食事による生殖機能への影響についても明らかにされていません。そこで、米マサチューセッツ総合病院のJill A. Attaman氏らは、同院の不妊治療センターを受診した男性を対象に予備的な研究を行ったそうです。
脂肪と精子の質の関係
Attaman氏らは、2006年12月~10年8月に対象となる男性のうち、無精子症などを除き、精管切除術を受けていない99人(平均年齢36.4歳)を対象に予備的研究を実施しました。摂取カロリーに占める脂肪の割合によって3群に分けて検討したところ、最も脂肪の割合が高かったグループ(平均脂肪摂取率37%)は、最も低かったグループ(同26%)に比べて総精子数が43%、精子濃度が38%それぞれ低下を示したといいます。
一方、青魚などに多く含まれるDHAなどのオメガ-3脂肪酸が摂取カロリーに占める割合によって3群に分けて検討したところ、最も低かったグループ(平均オメガ-3脂肪酸摂取率0.4%)に対して最も高かったグループ(同0.7%)では、精子の形が正常な割合が1.9%高いことがわかりました。
Attaman氏らは、今回はあくまで予備的な研究としながらも、脂肪摂取と精子の質との関連を検討した初めての研究と強調しています。対象人数を拡大したさらなる研究により、今回の研究結果を裏付けたい考えを示したということです。
不妊治療の一環としてED治療をして、勃起が可能になったとしても、精子の質が低下していては元も子ありません。日頃から食事や生活習慣に気をつけ、勃起機能だけでなく精子の質も気にかけた方が良いかもしれません。
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