2012年9月20日~22日の3日間にわたって開催された日本性機能学会学術総会。今回の学会開催にあたり、会長を務められた丸茂健氏(日本性機能学会理事長)に、学会とED治療について、お話しを伺いました。
まずは第23回日本性機能学会学術総会を終えられての、率直なご感想をお聞かせください。
この度、日本性機能学会第23回学術総会の会長を務めるにあたり、35年間の泌尿器科医としての活動も、ひとつの節目を迎えた様な、そんな想いが致しました。本学術総会のような歴史ある大きな会を主催させていただくことは、私にとりましては初めてのことであり、また、身に余るほどの光栄でもありました。会期中は大勢の方々にご参加いただき、盛会裡に学会を終えることができました。このような機会を与えて下さった皆様に感謝しています。
今回の学会テーマは「AKIBAから世界へ CATCH THE WAVE」ですが、このテーマを設定された理由をお聞かせください。
会場となる秋葉原は日本の情報技術(IT)の中心の一つです。情報の収集・加工・通信・共有などに不可欠な存在となっているITの波に乗って日本性機能学会の更なる発展に役立てば、との想いで設定いたしました。そのため、パネルディスカッションやシンポジウム、セミナー等では性機能障害が関わる基礎と臨床、勃起障害、射精障害、女性性機能障害、疫学、画像診断、IT関連など、ほぼ全領域をカバーできるよう企画いたしました。
現在のED治療を取り巻く環境について、どのようにお考えですか?
本学会が歩んで参りました30余年の間、性機能障害の原因究明と治療学が着実な発展を遂げてまいりました。近年、特にその傾向には目覚ましいものがあり、勃起障害(ED)治療に革命をもたらせたPDE5阻害剤は、現在では多臓器も視野に入れた新たな治療への応用が模索されています。さらには、高齢化社会におけるaging male(加齢男性)の内分泌環境とライフスタイルが健康に及ぼす影響、stem cell(ES細胞/胚性幹細胞)と遺伝子技術を応用した、あらたな治療法への挑戦にも、期待が集まっています。
ED治療を含めた性機能医学の課題と今後の展望についてお聞かせください。
先ほど述べた発展の一方で、従来の治療に抵抗を示すEDや、高齢化に関わる様々な合併症の増加などの問題については、まだまだ未解決な部分が多く、今後取り組んでいかなければいけない課題であろうと認識しております。これらの問題に対して果敢に挑戦し、その解決につながる糸口を探ることで、我々人類は不可能とされた夢を現実のものとしてきました。本学術総会がこのような性機能障害に取り組む上で、新しい展開を得るための意義ある前進の場になればと願ってやみません。
丸茂会長、誠にありがとうございました。