ロエッテ(経口避妊薬:レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール)
ロエッテ(Loette)は、レボノルゲストレル0.10mgとエチニルエストラジオール0.02mgを配合した一相性の低用量経口避妊薬(OC)です。すべての錠剤に同じホルモン量が含まれているため、飲む順番を気にする必要がなく、飲み間違いのリスクが少ない点が特徴です。
エチニルエストラジオールの含有量が0.02mgと少ないため、超低用量ピル(ULD)に分類されます。一般的な低用量ピル(0.03mg配合が多い)と比べてエストロゲン関連の副作用リスク軽減が期待される処方です。21日間連続で服用し、7日間の休薬期間を設ける周期で使用します。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
ロエッテの概要
- レボノルゲストレル0.10mg+エチニルエストラジオール0.02mg配合の一相性ピル
- 全錠剤が同じホルモン量のため飲み間違いの心配がない
- エチニルエストラジオール0.02mgの超低用量処方でエストロゲン関連の副作用リスク軽減が期待される
- 21日間服用+7日間休薬の周期で使用
- 1箱21錠入り
ロエッテの製造元はファイザー(Pfizer)です。ファイザーは1849年にアメリカで設立された世界最大級の製薬企業であり、ワクチン・医療用医薬品・コンシューマーヘルスケア製品を世界各国で展開しています。ロエッテは同社のウィメンズヘルス領域の製品として、多くの国で使用されています。
| 商品名 | ロエッテ(Loette) |
|---|---|
| 有効成分 | ・レボノルゲストレル 0.10mg ・エチニルエストラジオール 0.02mg |
| 内容量 | 21錠(1箱) |
| 効果・効能 | 避妊 |
| 用法・用量 | 1日1錠を21日間連続服用し、7日間休薬 |
| 副作用 | ・悪心(吐き気) ・頭痛 ・乳房の張り ・不正性器出血 |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | ファイザー(Pfizer) |
Atsuロエッテは「一相性ピル」に分類されます。
トリキュラーやアンジュなどの「三相性ピル」ではホルモン量が3段階に変化するため、決められた順番で服用しなければなりません。
一方、ロエッテは全錠剤が同一成分・同一用量であり、順番を気にせず服用できます。
エチニルエストラジオール含有量が0.02mgと少ないため、エストロゲンに関連する副作用(吐き気、頭痛、乳房の張りなど)が軽減されることが期待されるでしょう。
ただし、ホルモン量が少ない分、飲み忘れによる避妊効果の低下が起こりやすい点には注意が必要です。
毎日同じ時間に正確に服用する習慣を身につけてください。
ロエッテはこんな方におすすめ
- 確実な避妊法を探している方
- 三相性ピルの飲む順番管理が煩わしいと感じている方
- エストロゲン量が少ないピルで副作用を抑えたい方
- 生理周期を安定させたい方
ロエッテの有効成分について
ロエッテには2種類の女性ホルモン成分が配合されています。
レボノルゲストレル(Levonorgestrel)0.10mgは黄体ホルモン(プロゲスチン)の一種です。子宮内膜の変化により受精卵の着床を抑制し、子宮頸管粘液の粘度を高めて精子の子宮内への侵入を防ぐ作用があります。
エチニルエストラジオール(Ethinylestradiol)0.02mgは卵胞ホルモン(エストロゲン)の一種です。レボノルゲストレルと協力して排卵を抑制し、不正出血を防ぐ役割を担っています。
これら2つのホルモンの複合的な作用により、排卵の抑制、子宮内膜の変化による着床抑制、子宮頸管粘液の変化による精子侵入抑制という三段階の避妊メカニズムが働きます。正しく服用した場合の避妊失敗率は約0.3%と報告されており、極めて高い避妊効果が確認されています。
Atsuレボノルゲストレルは第二世代のプロゲスチンに分類され、避妊薬の黄体ホルモン成分として長い使用実績を持っています。
ロエッテのエチニルエストラジオール含有量0.02mgは、国内で承認されている低用量ピル(トリキュラーやアンジュの0.03〜0.04mg)よりもさらに少ない用量です。
エストロゲン量が少ないほど血栓症のリスクは低くなる傾向にありますが、その反面、不正出血(破綻出血・点状出血)が起こりやすくなる場合があります。
不正出血は服用を継続するうちに改善していくことが多いですが、持続する場合は医師にご相談ください。
ロエッテの効果・効能
ロエッテの主な効果は避妊です。正しく服用した場合のパール指数は約0.3(年間避妊失敗率約0.3%)であり、極めて高い避妊効果が期待できます。
避妊効果に加えて、以下のような副次的な効果も期待されています。
- 生理周期の安定化 ─ 不規則な月経周期が規則的になる
- 月経痛の軽減 ─ 子宮内膜が薄くなることで痛みが緩和される
- 月経量の減少 ─ 出血量が減り、貧血のリスクが低下する
- PMS(月経前症候群)の改善 ─ ホルモンバランスの安定により症状が緩和される
ロエッテの服用方法
ロエッテは毎日なるべく同じ時間に1錠を水またはぬるま湯で服用します。
| 1回の服用量 | 1錠 |
|---|---|
| 服用期間 | 21日間連続服用 |
| 休薬期間 | 7日間(この間に消退出血が起こる) |
| 服用タイミング | 毎日同じ時刻に服用 |
| 避妊効果の発現 | 生理初日から服用開始した場合はその日から。それ以外のタイミングで開始した場合は服用開始から7日目以降 |
服用の流れ
- 生理初日からシート1番の錠剤を服用開始します
- 21日間連続で1日1錠ずつ服用します
- 21錠すべて飲み終えたら、7日間の休薬期間に入ります
- 休薬期間中に消退出血(生理のような出血)が起こります
- 休薬期間が終わったら、出血の有無にかかわらず新しいシートの服用を開始します
飲み忘れた場合の対応
1錠飲み忘れた場合 ─ 気づいた時点ですぐに1錠服用し、その日の予定時刻にも通常どおり1錠を服用してください(1日に2錠服用することになります)。
2錠以上続けて飲み忘れた場合 ─ 気づいた時点で直近の飲み忘れ分1錠を服用し、残りの錠剤は予定どおり1日1錠ずつ服用を継続してください。飲み忘れの期間中は避妊効果が低下している可能性があるため、その後7日間はコンドームなど他の避妊法を必ず併用してください。なお、飲み忘れが第3週(15から21日目)に該当する場合は、休薬期間を設けずに現在のシートを飲み終えた直後に新しいシートの服用を開始する方法もあります。対応に迷う場合は、医師または薬剤師に相談してください。
Atsuロエッテはエチニルエストラジオール含有量が0.02mgと少ないため、飲み忘れによる避妊効果の低下が比較的起こりやすい薬剤です。
毎日決まった時間に服用する習慣をつけることが大切であり、スマートフォンのアラーム機能を活用するなど、飲み忘れ防止の工夫を取り入れるとよいでしょう。
なお、生理初日以外のタイミングで服用を開始した場合、最初の7日間は避妊効果が十分ではありません。
この期間中はコンドームなど他の避妊法を併用してください。
ロエッテの副作用
一般的な副作用
以下の症状は服用開始後の初期段階で見られることが多く、2〜3周期ほど継続するうちに軽減していく傾向があります。
| 副作用 | 症状の詳細 | 頻度 |
|---|---|---|
| 悪心(吐き気) | 服用初期に多く見られる | 高頻度 |
| 頭痛 | 軽度〜中程度の頭痛 | 中程度 |
| 乳房の張り・乳房痛 | 乳房緊満感や痛み | 中程度 |
| 不正性器出血 | 破綻出血・点状出血 | 中程度 |
| 下腹部痛 | 軽度の腹痛 | 中程度 |
| めまい | 立ちくらみや回転性めまい | 低頻度 |
重篤な副作用 ─ 血栓症
経口避妊薬の使用で最も注意が必要な副作用は血栓症(静脈血栓塞栓症:VTE)です。発症頻度は非常にまれですが、生命に関わる可能性があります。
以下の症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、救急医療機関を受診してください。
- 脚の痛み・腫れ・むくみ・赤み・熱感(深部静脈血栓症の可能性)
- 突然の息切れ・胸の痛み(肺塞栓症の可能性)
- 激しい頭痛・めまい・失神(脳血管障害の可能性)
- 視力障害・舌のもつれ・手足の脱力や麻痺(脳梗塞の可能性)
禁忌(服用できない方)
- 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはこれらの既往歴のある方
- 35歳以上で1日15本以上喫煙する方
- 前兆(閃輝暗点など)を伴う片頭痛のある方
- 血栓ができやすい体質の方
- 妊娠中または授乳中の方
- 乳がんなどのエストロゲン依存性悪性腫瘍のある方
- 診断が確定していない異常性器出血のある方
- 重篤な肝障害や肝腫瘍のある方
Atsu経口避妊薬による血栓症(VTE)のリスクは、服用していない女性と比較するとわずかに上昇します。
具体的には、OC非使用の女性におけるVTE発症率は年間10,000人あたり1から5例であるのに対し、OC使用者では3から9例程度と報告されています。
一方、妊娠中のVTE発症率は年間10,000人あたり5から20例とされており、OC使用時のリスクは妊娠中と比較して低い水準にとどまります。
血栓症のリスクは服用開始後の最初の1年間(特に最初の3か月間)が最も高く、その後は低下していく傾向があります。
喫煙は血栓症のリスクを大幅に高めるため、ロエッテ服用中は禁煙が強く推奨されます。
特に35歳以上の喫煙者は心血管系の重篤な副作用リスクが高いため、服用が禁忌とされています。
長時間の座位や脱水状態も血栓症のリスクを高めるため、飛行機の長距離移動時などには十分な水分補給と脚の運動を心がけてください。
ロエッテと他の薬との相互作用
ロエッテと絶対に併用できない薬はありませんが、以下の薬剤との併用により避妊効果が低下する可能性があります。
抗菌薬・抗生物質
テトラサイクリン系やペニシリン系(アンピシリンなど)の抗生物質により、腸内細菌叢が変化しエチニルエストラジオールの腸肝循環が阻害されることで、避妊効果が低下する可能性があります。
- 抗生物質の服用中および服用終了後7日間は、コンドームなど他の避妊法を併用してください
抗てんかん薬・リファンピシン
フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、リファンピシンなどの肝臓の薬物代謝酵素(CYP3A4)を誘導する薬剤は、ホルモンの代謝を促進し避妊効果を著しく低下させます。
- これらの薬を服用中の方は、必ず医師に相談してください
- 代替の避妊法が必要になる場合があります
HIV治療薬(プロテアーゼ阻害剤)
リトナビル、ネルフィナビル、ダルナビルなどのHIVプロテアーゼ阻害剤は、ロエッテのホルモン血中濃度に影響を与える可能性があります。
- HIV治療中の方は、主治医に避妊法について相談してください
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)
セント・ジョーンズ・ワートを含むサプリメントや健康食品は、肝臓の薬物代謝酵素を誘導してロエッテの効果を低下させます。
- ロエッテ服用中はセント・ジョーンズ・ワートを含む製品の使用を避けてください
ロエッテの注意事項
- 毎日同じ時間に服用してください。飲み忘れは避妊効果の低下につながります
- ロエッテは避妊薬であり、HIV(エイズ)やクラミジアなどの性感染症を予防する効果はありません。感染症予防にはコンドームの使用が必要です
- 喫煙は血栓症のリスクを大幅に高めます。服用中は禁煙してください
- 手術を受ける予定がある場合は、血栓症予防のため事前に医師へ報告してください
- 6か月ごとに血圧測定や乳房・腹部の健康診断を受けてください
- 高温多湿・直射日光を避け、室温で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
ロエッテのよくある質問
ロエッテとトリキュラーの違いは何ですか?
ロエッテは一相性ピル、トリキュラーは三相性ピルです。一相性ピルは全錠剤のホルモン量が同じため飲む順番を気にする必要がなく、三相性ピルはホルモン量が3段階に変化するため決められた順番で服用する必要があります。
また、ロエッテのエチニルエストラジオール含有量は0.02mgで、トリキュラー(0.03〜0.04mg)より少ない処方です。
ロエッテを飲み忘れた場合はどうすればよいですか?
1錠の飲み忘れであれば、気づいた時点ですぐに服用し、その日の予定時刻にも通常どおり1錠を服用してください。1日に2錠服用することになりますが問題ありません。
2錠以上続けて飲み忘れた場合は、現在のシートの服用を中止し、次の月経が始まった日から新しいシートを開始してください。新しいシート開始後7日間はコンドームを併用してください。
ロエッテの服用をやめたらすぐに妊娠できますか?
ロエッテの服用を中止すると、多くの方は1〜3か月以内に自然な排卵が再開します。
排卵の再開時期には個人差がありますが、ロエッテが長期的な不妊の原因になることはないとされています。妊娠を希望する場合は、服用を中止して自然な月経が回復してから妊活を始めてください。
休薬期間中も避妊効果は続いていますか?
21日間正しく服用していれば、7日間の休薬期間中も避妊効果は持続します。
ただし、休薬期間を7日間より長く延ばすと避妊効果が低下するおそれがあります。休薬期間が終わったら、消退出血が続いていても予定どおり新しいシートの服用を開始してください。
ロエッテで吐き気がひどい場合はどうすればよいですか?
吐き気は服用初期に多く見られる副作用であり、2〜3周期ほど継続するうちに軽減していくことがほとんどです。
就寝前に服用すると吐き気を感じにくくなる場合があります。服用後2時間以内に嘔吐した場合は、もう1錠を追加で服用してください。症状がひどい場合は医師に相談してください。
ロエッテに関連する添付文書等の参考資料
ロエッテの有効成分レボノルゲストレル・エチニルエストラジオールに関する参考資料を以下に掲載します。