ボルタレンエマルジェル(鎮痛消炎外用薬:ジクロフェナクナトリウム)
ボルタレンエマルジェル(Voltaren Emulgel)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)「ジクロフェナクナトリウム」を有効成分とする外用鎮痛消炎ジェルです。
世界的な製薬企業であるもともとノバルティス社が開発した製品で、現在はGSKのコンシューマーヘルスケア部門から独立したHaleon(ヘイリオン)社が多くの地域で販売を手がけています。関節痛や筋肉痛、腱鞘炎、外傷後の腫れや痛みなど、幅広い痛みに対して皮膚から直接アプローチします。内服薬と異なり胃腸への負担が少なく、痛みのある部位にピンポイントで作用します。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
ボルタレンエマルジェルの概要
- Haleon社(旧GSKコンシューマーヘルスケア部門)が販売する外用鎮痛消炎剤
- 有効成分ジクロフェナクナトリウムを1gあたり11.6mg(ジクロフェナクナトリウムとして10mg)含有
- ジェルタイプで皮膚から浸透し、患部に直接作用する経皮吸収型の鎮痛薬
- 内服薬のように胃腸に負担をかけにくい外用薬
- 日本国内では「ボルタレンゲル1%」として医療用医薬品に承認されている同一成分
- 1日3〜4回の塗布で、関節痛・筋肉痛・腱鞘炎などの痛みを緩和
ボルタレンエマルジェルは、もともとノバルティス社が開発したブランドです。その後GSKがコンシューマーヘルスケア事業を統合し、2022年にはその事業がHaleon(ヘイリオン)社として独立しました。現在はHaleon社が多くの地域で製造販売を担っており、世界各国で広く使用されている実績のある製品です。
| 商品名 | ボルタレンエマルジェル(Voltaren Emulgel) |
|---|---|
| 内容量 | 50g |
| 効果・効能 | ・変形性関節症 ・肩関節周囲炎 ・腱・腱鞘炎、腱周囲炎 ・上腕骨上顆炎(テニス肘等) ・筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等) ・外傷後の腫脹・疼痛 |
| 有効成分 | ジクロフェナクナトリウム 1gあたり11.6mg |
| 副作用 | ・発疹、発赤 ・かゆみ、かぶれ ・接触皮膚炎 ・光線過敏症 |
| 形状・剤形 | ジェル(外用薬) |
| ブランド | ヘイリオン(Haleon) |
ボルタレンエマルジェルはこんな方におすすめ
- 関節痛や筋肉痛を塗り薬で手軽にケアしたい方
- 鎮痛薬の内服による胃腸への負担が気になる方
- 腰痛・肩こり・腱鞘炎など慢性的な痛みに悩んでいる方
- スポーツや運動後の筋肉痛・打撲をケアしたい方
- テニス肘や五十肩などの痛みを緩和したい方
Atsuボルタレンエマルジェルは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の中でも鎮痛効果が高いジクロフェナクナトリウムを外用薬にした製品です。
内服薬のボルタレン錠と同じ有効成分を含みながら、皮膚から直接患部に浸透するため、胃腸障害のリスクを抑えつつ局所的な鎮痛・消炎効果が期待できます。
「痛み止めを飲むと胃が荒れやすい」という方にとって、外用薬は有力な選択肢となるでしょう。
ただし、広範囲に大量に塗布すると全身性の副作用が出る可能性もあるため、添付文書に記載された用法用量を守り、必要以上の量を塗布しないよう注意してください。
ボルタレンエマルジェルの有効成分について
ボルタレンエマルジェルの有効成分は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるジクロフェナクナトリウムです。ジクロフェナクナトリウムは、体内の炎症や痛みの原因物質である「プロスタグランジン」の生成に関わる酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害します。
プロスタグランジンは炎症部位に集まり、痛みや腫れ、発熱を引き起こします。ジクロフェナクナトリウムがCOXを阻害することで、プロスタグランジンの生成が抑えられ、痛みや炎症が軽減されます。
エマルジェル製剤は水分と油分を乳化した独自の基剤を使用しており、ジクロフェナクナトリウムが皮膚を通して患部に効率よく浸透します。さらに、基剤にはイソプロパノール(イソプロピルアルコール)が含まれており、皮膚への浸透を助ける役割を果たすと考えられています。
AtsuジクロフェナクナトリウムはNSAIDsの中でも鎮痛・抗炎症作用が強い成分として知られています。
同じNSAIDsであるイブプロフェンやロキソプロフェンと比べても、抗炎症作用の強さではトップクラスに位置づけられる薬剤です。
エマルジェル(乳化ジェル)は、水性ジェルの使い心地のよさと油性基剤の経皮吸収性を兼ね備えた製剤設計になっています。
塗布後のべたつきが少なく、衣服を汚しにくい点も利点の一つです。
ボルタレンエマルジェルの効果・効能
- 変形性関節症に伴う関節の痛み・腫れの緩和
- 肩関節周囲炎(五十肩)による肩の痛み・こわばりの改善
- 腱・腱鞘炎、腱周囲炎の痛みや炎症の軽減
- 上腕骨上顆炎(テニス肘等)の痛みの緩和
- 筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)の改善
- 打撲・捻挫など外傷後の腫れや痛みの軽減
ボルタレンエマルジェルは、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を皮膚の下で直接抑えることで、患部の痛み・腫れ・炎症を緩和します。ジェルを塗布した部位の皮膚から有効成分が浸透し、筋肉や関節に到達して効果を発揮します。
臨床試験では、変形性関節症や肩関節周囲炎をはじめとする6つの適応疾患において有効性が確認されています。慢性的な関節痛だけでなく、スポーツによる筋肉痛や打撲・捻挫といった急性の痛みにも使用できます。
ボルタレンエマルジェルの使用方法
| 1回の使用量 | 適量(患部の広さに応じて調整) |
|---|---|
| 1日の使用回数 | 3〜4回 |
| 使用間隔 | 4時間以上あける |
| 塗布方法 | 患部全体に薄く塗り広げる(強く擦り込まない) |
| 使用上限 | 1週間あたり50gを超えないこと |
ボルタレンエマルジェルは1日3〜4回、痛みのある部位に適量を塗布してください。ジェルを患部全体に薄く伸ばすように塗り広げます。強く擦り込む必要はなく、軽く塗り伸ばすだけで皮膚から有効成分が浸透します。
塗布後は手をよく洗い、目や粘膜にジェルが触れないよう注意してください。また、塗布した部分をラップなどで密封しないでください。
使用上の注意
- 傷口や湿疹のある部位には使用しないでください
- 目や口の周り、粘膜部分への使用は避けてください
- 塗布後に直射日光を長時間浴びることは避けてください(光線過敏症のおそれ)
- 長期間にわたる連用は避け、症状が改善しない場合は医師に相談してください
- 使用後は手をよく洗ってください
- 高温多湿を避け、室温で保管してください
Atsu外用薬は「塗ればすぐ効く」というイメージがあるかもしれませんが、慢性的な痛みに対しては数日間の継続使用で効果が安定してくる場合があります。
急性の痛み(打撲・捻挫など)では、比較的早い段階で効果を感じられることも少なくありません。
1回の塗布量は、患部の広さに応じて薄く塗り広げられる程度を目安にしてください。
ジェルが乾いた後はべたつきがほとんどなく、衣服の上からも使いやすいのが特徴です。
ただし、塗布した部分を密封したり、温湿布と併用したりすると皮膚への刺激が強くなるおそれがあるため避けてください。
ボルタレンエマルジェルの警告・禁忌・副作用
警告
- アスピリン喘息(NSAIDsによる喘息発作の既往がある方)は使用できません。ジクロフェナクナトリウムにより重篤な喘息発作を引き起こすおそれがあります
- ジクロフェナクナトリウムまたは本剤に含まれる成分に対してアレルギー(過敏症)のある方は使用しないでください
- 妊娠後期の方は使用を避けてください。胎児に影響を及ぼすおそれがあります
禁忌
以下に該当する方はボルタレンエマルジェルを使用できません。
- ジクロフェナクナトリウムまたは本剤の成分に対して過敏症のある方
- アスピリン喘息(非ステロイド性抗炎症薬等による喘息発作の誘発)またはその既往歴のある方
- 傷口、湿疹、発疹のある部位への塗布
副作用
ボルタレンエマルジェルの主な副作用は塗布部位に現れる皮膚症状です。
主な副作用
塗布部位に以下の症状が現れることがあります。
- 発疹、発赤
- かゆみ、かぶれ
- 刺激感、ヒリヒリ感
- 水疱、色素沈着
重篤な副作用(まれ)
頻度は低いですが、以下の重篤な副作用が報告されています。
- ショック、アナフィラキシー:じんましん、呼吸困難、血圧低下、意識の混濁などが現れた場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください
- 接触皮膚炎:強いかゆみを伴う発疹・発赤、腫れ、水疱・ただれが広範囲に現れた場合
- 光線過敏症:塗布部位に直射日光があたった後、強い発赤・腫れ・水疱が現れた場合
使用上の注意が必要な方
- 気管支喘息のある方(喘息発作を誘発するおそれがあります)
- 妊娠中または授乳中の方(使用前に医師に相談してください)
- 小児(保護者の監督のもとで使用してください)
- 他の外用鎮痛消炎薬や内服の鎮痛薬を併用している方
- 感染を伴う炎症がある方(感染症を悪化させるおそれがあります)
- こどもの手の届かない場所に保管してください
Atsu外用薬であるため、内服薬と比較して全身性の副作用は出にくい傾向にあります。
ただし、アスピリン喘息の方は絶対に使用しないでください。
NSAIDsによる喘息発作は外用薬でも引き起こされる可能性があり、重篤な症状に至る場合があります。
また、塗布部位を直射日光に当てると「光線過敏症」が生じることがあります。
屋外で活動する際は、塗布部位を衣服やサポーターで覆うなどの対策をとりましょう。
もし塗布部位に強いかゆみ・腫れ・水疱などの異常が現れた場合は、すみやかに使用を中止して医師に相談してください。
ボルタレンエマルジェルの相互作用
ボルタレンエマルジェルは外用薬であるため、内服薬と比較して薬物相互作用のリスクは低い傾向にあります。ただし、以下の薬剤との併用には注意が必要です。
他のNSAIDs(鎮痛消炎薬)
内服・外用を問わず、他のNSAIDsとの併用によりジクロフェナクナトリウムの作用が増強され、副作用のリスクが高まる場合があります。
- ロキソプロフェンやイブプロフェンなど内服の鎮痛薬を使用中の方は、塗布部位や使用量について医師に相談してください
- 同じ部位に他の外用鎮痛薬を重ねて塗布しないでください
ニューキノロン系抗菌薬
ニューキノロン系抗菌薬(レボフロキサシン、シプロフロキサシン等)との併用で、まれにけいれんが誘発される可能性が報告されています。
- ニューキノロン系抗菌薬を内服中の方は、使用前に医師または薬剤師に相談してください
Atsuボルタレンエマルジェルは外用薬のため、内服薬と比べると薬物相互作用は限定的です。
しかし、すでにロキソニンやボルタレン錠などの鎮痛薬を内服している場合は注意が必要です。
外用薬であっても皮膚から吸収された有効成分が血中に移行するため、NSAIDsの総量が増加し、胃腸障害や腎機能への影響が出る可能性があります。
複数の鎮痛薬を併用する場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
ボルタレンエマルジェルの保管方法と注意事項
- 直射日光を避け、室温(1〜30℃)で保管してください
- 高温多湿の場所や車内への放置は避けてください
- 使用後はキャップをしっかり閉めてください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
- ジェルが合成樹脂製品(テーブルクロス等)に付着すると、表面を変質させることがあります
- 使用期限を過ぎた製品は使用しないでください
ボルタレンエマルジェルのよくある質問
ボルタレンエマルジェルはどのくらいで効果を感じますか?
塗布後30分〜1時間程度で痛みの軽減を感じる方が多いです。ジクロフェナクナトリウムが皮膚を通して患部に浸透するまでに一定の時間がかかります。
ただし、効果の持続時間や実感には個人差があります。慢性的な痛みに対しては、数日間継続して使用することで効果を実感しやすくなります。
ボルタレンエマルジェルと内服の鎮痛薬は併用できますか?
併用は可能ですが、注意が必要です。外用薬であっても有効成分が皮膚から吸収されて血中に移行するため、内服のNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン等)と併用すると鎮痛成分の総量が増加します。
特に胃腸障害や腎機能への影響が懸念されますので、内服の鎮痛薬を常用している場合は、使用前に医師や薬剤師に相談してください。
ボルタレンエマルジェルは顔や首に使えますか?
顔や目の周り、粘膜には使用しないでください。ボルタレンエマルジェルは皮膚の厚い部位(関節、筋肉部分)への使用を想定しています。
首の後ろ側(筋肉部分)への使用は可能ですが、顔・目の周り・口の中・粘膜・傷口・湿疹のある部位には使用できません。
ボルタレンエマルジェルとボルタレンテープの違いは何ですか?
有効成分は同じジクロフェナクナトリウムですが、剤形と使い勝手が異なります。エマルジェルはジェルタイプのため、関節の曲がる部分や広い範囲にも塗りやすいのが特徴です。
一方、テープ(貼付剤)は貼るだけで済むため手を汚さずに使用できます。塗りにくい場所にはテープ、曲げ伸ばしが多い関節部分にはジェルと、部位や好みに応じて使い分けるとよいでしょう。
ボルタレンエマルジェルは長期間使い続けても大丈夫ですか?
長期間の連用は避けてください。外傷後の痛み(打撲・捻挫等)の場合は2週間程度、変形性関節症などの慢性疼痛の場合は4週間程度を目安に使用し、症状の改善状況を確認してください。
漫然と使い続けると皮膚症状(接触皮膚炎等)が出やすくなります。症状が改善しない場合や悪化した場合は、医師に相談してください。