オンビルEM(HIV治療・予防薬:ツルバダ ジェネリック)
オンビルEMは、ツルバダ配合錠のジェネリック医薬品であり、HIV-1感染症の治療および曝露前予防(PrEP)に用いられる抗ウイルス薬です。
有効成分としてエムトリシタビン200mgとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mgを配合し、いずれも核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)に分類されます。
1日1回1錠の服用で血中濃度を維持できるため、治療および予防のいずれの目的でも継続しやすい点が特徴です。先発薬であるツルバダと同一の有効成分・含有量を持ちながら、ジェネリックとして費用を抑えられる点も大きなメリットといえるでしょう。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
オンビルEMの概要
- ツルバダ配合錠と同一成分を含む配合ジェネリック医薬品
- HIV-1感染症の治療および曝露前予防(PrEP)に使用
- 1日1回1錠の服用で効果が持続
- 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2成分の配合剤
- 製造はインドのセンチュリオンラボラトリーズ
製造元のセンチュリオンラボラトリーズ(Centurion Laboratories)は、2006年にインド・グジャラート州で設立された製薬企業です。WHO-GMPおよびISO 9001:2015の認証を取得しており、抗HIV薬を含む幅広い処方薬を世界各国へ輸出しています。
オンビルEMは同社が抗ウイルス領域で展開するHIV治療・PrEP向けの配合錠製品です。
| 商品名 | オンビルEM(Onbil EM) |
|---|---|
| 内容量 | 30錠 |
| 効果・効能 | HIV-1感染症の治療、曝露前予防(PrEP) |
| 有効成分 | ・エムトリシタビン:200mg ・テノホビルジソプロキシルフマル酸塩:300mg |
| 副作用 | 頭痛、悪心、下痢、めまい、発疹など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | センチュリオンラボラトリーズ(Centurion Laboratories) |
AtsuオンビルEMは、HIV治療目的の場合は他の抗HIV薬と必ず併用する必要がある配合剤です。
本剤単独ではHIV-1の増殖を完全に抑えることはできず、薬剤耐性ウイルスの出現リスクが高まるため、プロテアーゼ阻害薬やインテグラーゼ阻害薬と組み合わせる多剤併用療法(cART)が標準とされています。
一方で、HIVに感染していない方の曝露前予防(PrEP)目的では本剤単独での使用が認められています。開始前にHIV検査で陰性を確認することが必須であり、自己判断での服用は避けるべきです。
オンビルEMはこんな方におすすめ
- HIV-1感染症の治療を継続している方
- HIV感染リスクが高く曝露前予防(PrEP)を検討している方
- 先発品ツルバダからジェネリックへの切り替えを希望する方
- 1日1回の簡便な服用スケジュールを望む方
- 治療費用を抑えながら効果的な治療を継続したい方
オンビルEMの有効成分について
オンビルEMには、エムトリシタビンとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩という2つの核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)が配合されています。両成分はHIVウイルスが宿主細胞内で自身のRNAをDNAに変換する逆転写の段階を阻害し、ウイルスの複製を抑制する作用を持ちます。
エムトリシタビンはシチジン誘導体、テノホビルジソプロキシルはアデノシン誘導体であり、異なる塩基類似体を組み合わせることで相補的にウイルスの増殖を阻害します。
この配合により単剤と比較して薬剤耐性ウイルスが出現するリスクが低減され、cART(多剤併用療法)のバックボーンとして広く用いられているのです。
テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は経口投与後、体内でテノホビルへ加水分解され、さらに細胞内で活性代謝物テノホビルジホスフェートに変換されます。
エムトリシタビンも同様に細胞内で三リン酸化体となり、両者がHIV-1逆転写酵素のDNA鎖伸長を競合的に阻害することで効果を発揮します。
Atsuエムトリシタビン/テノホビル配合剤は、PrEPを目的とした大規模臨床試験「iPrEx試験」において、服薬遵守率が高い参加者ではHIV感染リスクが90%以上低下することが報告されています。
一方で、服薬を忘れがちな参加者では予防効果が大きく低下することも示されており、PrEPの効果は毎日確実に服用できるかどうかに強く依存するといえるでしょう。
テノホビルジソプロキシル製剤は腎機能・骨密度に影響を与え得るため、長期服用される方は定期的なモニタリングを受けるべきです。
オンビルEMの効果・効能
- HIV-1感染症の治療(他の抗HIV薬と併用)
- HIV-1の曝露前予防(PrEP)
オンビルEMの有効成分エムトリシタビンとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、HIV-1の逆転写酵素を選択的に阻害することでウイルスの複製を抑制します。
HIVは宿主細胞に侵入した後、自身のRNAをDNAへ変換して細胞のDNAに組み込もうとしますが、両成分はこの過程をブロックします。
HIV治療の現場では、本剤を含む2剤を「バックボーン」とし、これにプロテアーゼ阻害薬やインテグラーゼ阻害薬を加えた多剤併用療法(cART)が標準療法として確立されています。適切な服薬を継続することで、血中ウイルス量を検出限界以下に維持し、免疫機能の回復を促すことが可能です。
曝露前予防(PrEP)に関しては、米国FDAが2012年にツルバダを成人の経口PrEP薬として承認しています。
日本国内では「日本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利用の手引き」において使用方針が示されており、エムトリシタビン/テノホビル配合剤は毎日服用する継続PrEP(daily PrEP)の代表的レジメンとして位置づけられているのです。
AtsuPrEP目的での服用を開始する前には、必ずHIV検査で陰性を確認する必要があります。
感染していることに気づかずPrEPとして本剤を服用すると、エムトリシタビンとテノホビルの2剤のみで治療を行う形となり、薬剤耐性ウイルスを誘導する重大なリスクがあるためです。
また、服用を開始してすぐに最大限の予防効果が得られるわけではなく、直腸組織で十分な薬物濃度に達するまでに約7日間、女性生殖器組織では約20日間が必要と報告されています。
この期間はコンドームなど他の予防手段との併用が望ましいでしょう。
オンビルEMの服用方法・使用方法
オンビルEMは、有効成分の血中濃度を一定に保つため、毎日決まった時間に1錠を服用することが基本です。食事の影響を受けにくいため空腹時でも食後でも服用できますが、消化器症状を軽減するため食後の服用がよいでしょう。
| 1回の用量 | 1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用するタイミング | 毎日同じ時間帯(食事の影響なし) |
使用上の注意
- HIV治療目的の場合は、必ず他の抗HIV薬と併用してください
- 服用を忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用してください。ただし次の服用時間が近い場合は飛ばし、通常のスケジュールに戻してください
- 自己判断で服用を中止しないでください。B型肝炎ウイルスを合併している方は、急激な肝炎悪化のリスクがあります
- PrEP目的で服用する場合は、定期的なHIV検査および腎機能検査が推奨されます
Atsuテノホビルジソプロキシルは主に腎臓から排泄されるため、クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の方では用量調節または投与回避が必要となります。
FDA添付文書では、クレアチニンクリアランスが30〜49mL/minでは48時間ごとの投与に変更し、30mL/min未満の方や血液透析を受けている方には本剤を使用すべきではないとされています。
定期的に血清クレアチニン・尿たんぱく・尿糖・血清リンを測定し、ファンコニー症候群や近位尿細管障害の早期発見につなげることが大切です。
オンビルEMとツルバダの比較
オンビルEMは先発医薬品ツルバダのジェネリック医薬品にあたります。有効成分とその含有量は同一であり、同等の薬理学的効果が期待できるのが特徴です。先発薬と比べて費用を抑えられる点がジェネリックを選ぶ最大のメリットといえるでしょう。
| 項目 | オンビルEM | ツルバダ |
|---|---|---|
| 分類 | ジェネリック医薬品 | 先発医薬品 |
| 有効成分 | エムトリシタビン 200mg テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 300mg | エムトリシタビン 200mg テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 300mg |
| 製造元 | センチュリオンラボラトリーズ | ギリアド・サイエンシズ |
| 承認年 | — | 2004年(FDA) |
| 入手方法 | 個人輸入 | 医療機関での処方 |
なお、先発品ツルバダ配合錠は日本国内でも承認されており、PMDAおよびKEGGにて添付文書情報が公開されています。ジェネリックである本剤も同一の有効成分プロファイルを持つため、添付文書の情報は重要な参照源となります。
オンビルEMの警告・禁忌・副作用
警告
- B型慢性肝炎を合併している方は、本剤の投与中止により肝炎が急激に悪化する可能性があります。投与中止後は数か月にわたり肝機能を注意深く観察してください
- 本剤の単独投与はHIV-1に対する完全な治療とはならないため、HIV治療目的では必ず他の抗HIV薬と併用してください
- 腎機能障害または腎機能障害のリスクがある方では、腎機能を定期的に検査してください
禁忌(服用してはいけない方)
- エムトリシタビン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩または本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある方
- クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の重度腎機能障害がある方(FDA添付文書)
副作用
オンビルEMを服用すると、以下の副作用が現れることがあります。多くは軽度かつ一過性ですが、症状が持続したり悪化したりする場合は服用を中止し、医療機関を受診してください。
主な副作用
- 頭痛
- 悪心・嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- めまい
- 倦怠感
- 発疹
- 不眠
重篤な副作用
以下の症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。頻度は高くありませんが、いずれも早期発見と早期対応が重要です。
- 乳酸アシドーシスおよび重度の肝腫大:過呼吸、倦怠感、筋肉痛、悪心など
- 重度の肝機能障害:黄疸、肝臓の腫大、AST/ALT上昇
- 急性腎障害・近位尿細管障害:尿量減少、むくみ、倦怠感
- ファンコニー症候群:低リン血症、骨軟化症
- 免疫再構築症候群:治療開始後の日和見感染の顕在化
慎重投与(注意が必要な方)
- 腎機能障害のある方
- B型肝炎ウイルス感染を合併している方
- 高齢の方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
Atsuテノホビルジソプロキシルは長期服用により骨密度の低下が報告されているため、骨粗しょう症リスクがある方は注意が必要です。
米国FDAの添付文書では、ツルバダ服用群でプラセボ群より腰椎・大腿骨頸部の骨密度減少が認められたとのデータが示されています。
骨折リスクが高いと判断される場合は、テノホビルアラフェナミド(TAF)配合剤など腎・骨への影響がより少ない後継製剤への切り替えを医師と相談すべきです。
オンビルEMの他の薬との相互作用
併用しないこと
以下の医薬品との併用は、有効成分の重複や相加的な腎毒性の懸念があるため避けるべきです。重複処方を防ぐためにも、現在服用しているすべての薬を医師・薬剤師に申告してください。
エムトリシタビン・テノホビルを含む製剤
本剤と同一の有効成分を含む他の配合剤や単剤と併用すると、有効成分の重複により副作用リスクが大きく高まります。
- エムトリバ(エムトリシタビン単剤)
- ビリアード(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩単剤)
- デシコビ、ゲンボイヤ、オデフシィ(テノホビル配合剤)
ラミブジンを含む製剤
エムトリシタビンとラミブジンは構造が類似したシチジン誘導体であり、作用機序が重複するため併用してはいけません。薬理学的に交叉耐性が生じる可能性があり、ガイドライン上も併用は推奨されていません。
併用に注意すること
以下の薬剤との併用には注意が必要です。とくに腎排泄に関わる薬剤やCYP代謝に関与する薬剤は、テノホビルの血中濃度や腎機能に影響を与える可能性があります。
腎毒性のある薬剤
テノホビルジソプロキシルは腎排泄型薬剤であるため、他の腎毒性薬剤との併用により急性腎障害のリスクが上昇します。やむを得ず併用する場合は腎機能を厳密にモニタリングするべきです。
- アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン、アミカシンなど)
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の高用量・長期使用
- アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル
プロテアーゼ阻害薬(リトナビルブースト製剤)
アタザナビル、ロピナビル/リトナビルなどのリトナビルブーストプロテアーゼ阻害薬を併用すると、テノホビルの血中濃度が上昇する可能性があります。腎機能への影響に注意が必要です。
- アタザナビル、ロピナビル/リトナビル
ジダノシン
テノホビルとの併用によりジダノシンの血中濃度が上昇し、膵炎・乳酸アシドーシス・末梢神経障害など重篤な副作用リスクが増加します。原則として併用は避けるべきです。
レジパスビル/ソホスブビル(C型肝炎治療薬)
HCV治療薬であるレジパスビル/ソホスブビル配合剤との併用により、テノホビルの血中濃度が上昇する可能性があります。HIV/HCV重複感染の方では、腎機能のモニタリングを強化することが重要です。
Atsu個人輸入で本剤を使用する場合、処方薬・市販薬・サプリメントを含めてすべての併用薬を整理しておくことが重要です。
とくにNSAIDs(ロキソニン・イブプロフェンなど)は薬局でも入手しやすいため、長期連用していると気づかぬうちに腎機能へ負担がかかっている場合があります。
オンビルEMの注意事項
- PrEP目的で使用する場合は、開始前および3か月ごとにHIV検査を受けてください
- 本剤の服用はHIV感染リスクを低減しますが、他の性感染症(淋病、クラミジア、梅毒など)の予防にはなりません
- 保管は直射日光や高温多湿を避け、室温(15〜30℃)で保管してください
- 服用される方の自己判断で用量を変更したり、服用を中止しないでください
- PrEPの場合、最大効果を得るには直腸組織で約7日間、女性生殖器組織で約20日間の連続服用が必要とされています
オンビルEMのよくある質問
オンビルEMはツルバダと同じ効果が期待できますか?
オンビルEMはツルバダ配合錠と同一の有効成分(エムトリシタビン200mg、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg)を同量含有するジェネリック医薬品です。同等の薬理学的効果が期待できます。
ジェネリック医薬品は先発品との生物学的同等性が確認されたうえで承認されるのが一般的であり、治療目的・PrEP目的のいずれでも先発品と同様の使い方が想定されています。
PrEP(曝露前予防)として使用する場合、いつから効果が出ますか?
PrEPの最大効果に到達する期間は、感染経路によって異なります。米国CDCのガイダンスでは、肛門性交による感染予防には約7日間、膣性交による予防には約20日間の連続服用が必要とされています。
服用開始直後は薬物濃度が組織内で十分に立ち上がっていないため、この期間はコンドームなど他の予防方法を併用することが望ましいでしょう。また、PrEPは継続服用が前提であり、不定期の服用では十分な効果が得られない点にも注意が必要です。
服用を忘れた場合はどうすればよいですか?
気づいた時点でできるだけ早く1回分を服用してください。ただし、次の服用時間まで12時間未満の場合は、その回は飛ばして次の服用時間に通常の用量を服用してください。
2回分を一度に服用することは避けるべきです。飲み忘れが続くと血中・組織内の薬物濃度が低下し、治療効果やPrEP効果が損なわれる可能性があります。毎日同じ時間にアラームを設定するなど、継続のための工夫を取り入れるとよいでしょう。
食事と一緒に服用する必要がありますか?
オンビルEMは食事の影響を受けにくいため、空腹時でも食後でも服用可能です。ただし、消化器症状を軽減したい場合は食後の服用がよいでしょう。
もっとも重要なのは毎日同じ時間に服用することであり、食事のタイミングは生活リズムに合わせて選んで構いません。
アルコールと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
適量のアルコールであれば、オンビルEMとの直接的な相互作用は報告されていません。ただし、過度の飲酒は肝機能に負担をかけ、薬の代謝や副作用の発現に影響を与える可能性があります。
とくにB型肝炎を合併している方は肝機能への配慮がより重要となるため、アルコールは控えめにするべきです。