クレストール(高コレステロール血症治療薬:ロスバスタチン)
クレストール(Crestor)は、有効成分ロスバスタチンカルシウムを配合したHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)で、高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症の治療に用いられる先発医薬品です。
ロスバスタチンは「ストロングスタチン」に分類される強力なコレステロール低下薬であり、肝臓でのコレステロール合成を阻害することでLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を効率的に低下させます。1日1回の服用で効果が持続し、食事の影響を受けにくいため服用タイミングを選ばない利便性があります。
日本では2005年に塩野義製薬から承認を取得し、アストラゼネカとの共同販売という形で脂質異常症の治療薬として広く処方されてきました。その後、2021年にアストラゼネカの販売が終了し、現在は塩野義製薬が製造販売元として単独で販売しています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
クレストールの概要
- ロスバスタチンカルシウム5mgを配合したストロングスタチンの先発医薬品
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を強力に低下
- 1日1回の服用で効果が持続、食事の影響を受けにくい
- 1箱28錠入り
- 塩野義製薬が製造販売(海外での開発元はアストラゼネカ)
クレストールの海外における開発元はアストラゼネカ(AstraZeneca plc)です。日本国内では塩野義製薬株式会社が製造販売承認を取得しています。アストラゼネカは英国・ケンブリッジに本社を置くグローバル製薬企業で、循環器・代謝、がん、呼吸器、免疫の各領域において革新的な医薬品を世界各国で展開しています。
| 商品名 | クレストール(Crestor) |
|---|---|
| 有効成分 | ロスバスタチンカルシウム 5mg |
| 内容量 | 28錠 |
| 効果・効能 | ・高コレステロール血症 ・家族性高コレステロール血症 |
| 用法・用量 | 1日1回5mgを服用(最大20mg) |
| 副作用 | ・筋肉痛 ・CK(クレアチンキナーゼ)上昇 ・肝機能検査値の上昇 |
| 形状・剤形 | フィルムコーティング錠 |
| 製造販売元 | 塩野義製薬(海外開発元:アストラゼネカ) |
Atsuクレストールは「ストロングスタチン」に分類されるロスバスタチンの先発医薬品です。
スタチン系薬剤には大きく分けてストロングスタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン)とスタンダードスタチン(プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン)があります。
ロスバスタチンはストロングスタチンのなかでも特にLDLコレステロール低下作用が強力とされており、同用量で比較した臨床データでも高い低下率が示されています。
クレストールの添付文書(国内臨床試験データ)によると、ロスバスタチン5mg投与群ではLDLコレステロールが約44〜52%低下したと報告されています。
なお、低下率は方の脂質プロファイルや併存疾患によって個人差がある点に留意が必要です。
スタチン系薬剤はコレステロール低下作用に加え、近年では抗炎症作用や血管内皮機能の改善作用などの多面的な効果(プレイオトロピック効果)も注目されており、動脈硬化の進行抑制に寄与する可能性が研究されています。
ただし、これらの効果については現時点で保険適応上の効能には含まれていません。
クレストールはこんな方におすすめ
- 健康診断でLDLコレステロール値が高いと指摘された方
- 食事療法や運動療法だけではコレステロール値が改善しない方
- 家族性高コレステロール血症と診断された方
- 動脈硬化の進行を予防したい方
- 先発医薬品(クレストール)を使用したい方
クレストールの有効成分について
クレストールには、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)であるロスバスタチンカルシウムが5mg配合されています。
コレステロールは主に肝臓で合成されます。HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速段階を触媒する酵素であり、ロスバスタチンはこの酵素を選択的に阻害することで肝臓でのコレステロール合成を抑制します。
肝臓内のコレステロールが減少すると、代償的に肝細胞表面のLDL受容体の発現が増加し、血中のLDLコレステロールの取り込みが促進されます。その結果、血中LDLコレステロール値が低下します。
Atsuロスバスタチンは、他のスタチン系薬剤と比較して肝臓への選択性が高いことが薬理学的な特徴です。
スタチンのなかにはCYP3A4で代謝されるもの(アトルバスタチン、シンバスタチン等)がありますが、ロスバスタチンは主にCYP2C9で一部代謝されるのみであり、大部分は未変化体として糞中に排泄されます。
CYP3A4の影響をほとんど受けないため、CYP3A4阻害薬(マクロライド系抗菌薬やアゾール系抗真菌薬など)との相互作用リスクが比較的低い点は臨床上の利点といえるでしょう。
一方で、OATP1B1やBCRPといったトランスポーターを介した相互作用には注意が必要です。
シクロスポリンとの併用が禁忌とされている理由もこれらのトランスポーター阻害による血中濃度上昇に起因します。
また、ロスバスタチンは食事の影響を受けにくいため、朝・夜いずれのタイミングでも服用可能です。
コレステロール合成は夜間に亢進するとされることから、就寝前の服用が効果的とする見解もありますが、ロスバスタチンは血中半減期が約19時間と比較的長いため、服用時間帯による有効性の差は臨床的に大きくないと考えられています。
最も大切なのは、毎日決まった時間に忘れず服用する習慣をつけることです。
クレストールの効果・効能
- 高コレステロール血症:LDLコレステロールの低下
- 家族性高コレステロール血症:遺伝的にコレステロールが高い方の治療
クレストールの添付文書(国内臨床試験データ)によると、ロスバスタチン5mg投与群ではLDLコレステロールが約44から52%低下したと報告されています。同時に、総コレステロール値やトリグリセリド(中性脂肪)の低下、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の上昇も確認されています。
効果は服用開始後1から2週間で現れ始め、4週間程度で安定した効果が得られます。ただし、コレステロール管理は長期的な治療が必要であり、自己判断で服用を中止しないでください。
クレストールの服用方法
クレストールは1日1回、水またはぬるま湯で服用します。通常は2.5mgから開始し、効果が不十分な場合に段階的に増量します。
| 1回の服用量 | 5mg(1錠) |
|---|---|
| 服用回数 | 1日1回 |
| 開始用量 | 2.5mgから開始(半錠に割って服用) |
| 最大用量 | 1日20mg |
| 服用タイミング | 食事の有無を問わず服用可(就寝前が推奨される場合あり) |
服用上の注意
- コレステロール値が下がっても自己判断で服用を中止しないでください
- 定期的にコレステロール値と肝機能検査を受けてください
- 食事療法と運動療法を併せて行うことで、より効果的なコレステロール管理が期待できます
Atsu当サイトで取り扱うクレストールは5mg錠のため、通常の開始用量(2.5mg)で服用を開始する場合は錠剤を半分に割ってください。
ただし、クレストールはフィルムコーティング錠であり割線は入っていないため、錠剤カッター(ピルカッター)を使用すると正確に分割しやすくなります。
4週間以上服用を継続しても効果が不十分な場合は、1錠(5mg)への増量を検討します。
増量の判断は血液検査の結果をもとに医師が行いますので、自己判断での増量は避けてください。
スタチン系薬剤で重要なのは「継続すること」です。
コレステロール値が改善しても服用を中止すると、数週間で値は服用前の水準に戻ることが知られています。
長期的なコレステロール管理のため、医師の指示に従って服用を継続してください。
クレストールの警告・禁忌・副作用
禁忌(服用できない方)
- ロスバスタチンに対して過敏症の既往歴がある方
- 重篤な肝障害のある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
- シクロスポリンを投与中の方
副作用
クレストールで起こる可能性のある主な副作用は以下のとおりです。
- 筋肉痛、筋力低下
- CK(クレアチンキナーゼ)値の上昇
- 肝機能検査値の上昇(AST・ALT)
- 腹痛、便秘
- 頭痛
筋肉痛はスタチン系薬剤に共通する副作用です。原因不明の筋肉痛、筋力低下、褐色尿が現れた場合は直ちに服用を中止し、医師にご相談ください(横紋筋融解症の可能性)。
重篤な副作用
ごくまれに、以下のような重篤な副作用が報告されています。
- 横紋筋融解症(筋肉痛、CK著明上昇、褐色尿)
- ミオパチー
- 肝機能障害、黄疸
- 血小板減少
- 間質性肺炎
Atsuスタチン系薬剤で最も注意すべき副作用は横紋筋融解症です。
横紋筋融解症は骨格筋の細胞が壊死・崩壊する重篤な病態であり、放置すると壊死した筋細胞から流出したミオグロビンが腎尿細管を閉塞し、急性腎障害に至ることがあります。
発症頻度は極めてまれですが、以下の症状が現れた場合は直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
・原因不明の筋肉痛や筋力の低下 ・褐色(赤褐色)の尿 ・強い倦怠感
横紋筋融解症のリスクは、フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)との併用や、腎機能が低下している方で高まるとされています。
また、高齢者や甲状腺機能低下症の方でもリスクが上昇する可能性が報告されており、該当する方は特に注意が必要です。
なお、スタチンによる筋症状(スタチン関連ミオパチー)は、横紋筋融解症に至らない軽度の筋肉痛や筋力低下も含め、比較的頻度が高い副作用です。
症状の程度にかかわらず、筋肉に異常を感じた場合は医師に相談することをお勧めします。
服用中は定期的にCK値と肝機能の検査を受けることが重要です。
クレストールの他の薬との相互作用
シクロスポリン(併用禁忌)
シクロスポリンとの併用により、ロスバスタチンの血中濃度が著しく上昇し、横紋筋融解症のリスクが高まるため、併用は禁忌です。
- シクロスポリン(ネオーラル等):併用禁忌
フィブラート系薬剤
フィブラート系薬剤との併用により、横紋筋融解症のリスクが高まるおそれがあります。
- ベザフィブラート(ベザトール)、フェノフィブラート(リピディル)等
ワルファリン
ロスバスタチンとの併用により、ワルファリンの抗凝固作用が増強されるおそれがあります。
- ワルファリン(ワーファリン):INR値のモニタリングが必要
クレストールの注意事項
- 原因不明の筋肉痛や褐色尿が現れた場合は直ちに服用を中止してください
- 定期的にコレステロール値、肝機能、CK値の検査を受けてください
- コレステロール値が改善しても自己判断で服用を中止しないでください
- 妊娠中・授乳中の方は服用できません
- 食事療法と運動療法を併せて実施してください
- 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
クレストールのよくある質問
クレストールとリピトールの違いは何ですか?
クレストール(ロスバスタチン)とリピトール(アトルバスタチン)はいずれもストロングスタチンですが、代謝経路が異なります。
ロスバスタチンはCYP3A4の影響をほとんど受けないため、CYP3A4を介した薬物相互作用が比較的少ない点が利点です。LDLコレステロールの低下率においても、同用量で比較するとロスバスタチンのほうが強力とされています。
いつ飲むのがよいですか?
クレストールは食事の影響を受けにくいため、朝・夜いずれのタイミングでも服用できます。
コレステロール合成は夜間に活発になるため、就寝前の服用が効果的とする見解もあります。大切なのは毎日同じ時間帯に継続して服用する習慣をつけることです。
コレステロールが下がったらやめてもよいですか?
自己判断で服用を中止しないでください。コレステロール値が改善しても、服用を中止すると数週間で元の水準に戻ります。
脂質異常症は長期的な管理が必要な疾患であり、減量や中止については定期検査の結果をもとに医師が判断します。
筋肉痛が出たらどうすればよいですか?
軽度の筋肉痛は比較的よく見られる副作用ですが、原因不明の強い筋肉痛や筋力低下、褐色尿が現れた場合は直ちに服用を中止してください。
これらの症状は横紋筋融解症の初期兆候である可能性があるため、速やかに医療機関を受診し、CK値の測定を受けてください。
クレストールとコルナーの違いは何ですか?
クレストールはロスバスタチンの先発医薬品(アストラゼネカ社)であり、コルナーは同じ有効成分を含むジェネリック医薬品です。
有効成分と用量は同じであるため、効果は同等と考えられています。先発品にこだわりがある方にはクレストールが適しています。
クレストールに関連する添付文書等の参考資料
クレストールの有効成分(ロスバスタチン)に関する参考資料を以下に掲載します。