エラ(緊急避妊薬:ウリプリスタル酢酸エステル)
エラ(ella)は、有効成分ウリプリスタル酢酸エステル30mgを含有する緊急避妊薬(モーニングアフターピル)です。
性交後120時間(5日間)以内に1錠を服用することで、排卵の抑制・遅延により妊娠の成立を防ぎます。従来の緊急避妊薬であるレボノルゲストレル製剤(ノルレボ等)が性交後72時間以内の服用とされているのに対し、エラは120時間以内まで有効とされており、約2日間長い猶予期間がある点が最大の特徴です。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
エラの概要
- ウリプリスタル酢酸エステル30mgを含有した緊急避妊薬
- 性交後120時間(5日間)以内の服用で緊急避妊効果が期待できる
- 従来のレボノルゲストレル製剤(72時間)より約2日間長い有効期間
- 1錠を1回服用するだけの簡便な使用方法
- アブディイブラヒムが製造
エラの製造元はアブディイブラヒム(Abdi İbrahim)です。アブディイブラヒムはトルコ・イスタンブールに本社を置く大手製薬企業で、ジェネリック医薬品を中心に幅広い医薬品を製造・販売しています。なお、ウリプリスタル酢酸エステルを有効成分とする緊急避妊薬の先発品は、米国HRA Pharma社(現Perrigo社)が開発した「ella」であり、複数の国で承認されています。本製品はそのジェネリック製剤に該当します。
| 商品名 | エラ(ella) |
|---|---|
| 内容量 | 1錠 |
| 効果・効能 | 緊急避妊(性交後120時間以内) |
| 有効成分 | ウリプリスタル酢酸エステル 30mg |
| 副作用 | ・頭痛 ・悪心(吐き気) ・腹痛 ・生理不順、不正出血 |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | アブディイブラヒム(Abdi İbrahim) |
Atsuエラは、選択的プロゲステロン受容体修飾剤(SPRM)に分類される緊急避妊薬です。
従来のレボノルゲストレル製剤が性交後72時間(3日間)以内の服用を前提としているのに対し、エラは120時間(5日間)以内まで有効とされています。
ただし、すべての緊急避妊薬に共通する原則として、服用が早いほど避妊効果は高まります。
万が一の事態が生じた場合は、可能な限り速やかに服用することが重要です。
エラはこんな方におすすめ
- 避妊に失敗した、または避妊措置をとらなかった方
- 性交後72時間を超えている、または排卵直前の時期に高い効果を期待したい方
- 万が一に備えて事前に緊急避妊薬を手元に準備しておきたい方
エラの有効成分について
エラには、選択的プロゲステロン受容体修飾剤(SPRM)であるウリプリスタル酢酸エステルが30mg配合されています。ウリプリスタル酢酸エステルは、プロゲステロン受容体に結合して排卵に関わるホルモンの作用を調整する成分です。
排卵直前であっても、LHサージ(黄体形成ホルモンの急激な上昇)がすでに開始された段階において排卵を抑制・遅延させる作用が報告されています。この点が、LHサージ開始後には排卵抑制が困難とされるレボノルゲストレルとの大きな違いです。
また、子宮内膜に作用して受精卵の着床を妨げる可能性も報告されています。これらの作用により、性交後120時間以内の服用で緊急避妊効果が期待できます。
Atsuウリプリスタル酢酸エステルの最大の特徴は、排卵直前の段階でも排卵を抑制できる点にあります。
従来のレボノルゲストレル製剤は、LHサージが始まると排卵を抑えることが難しいとされていますが、ウリプリスタル酢酸エステルはLHサージ開始後でも排卵を遅延させることが臨床試験で確認されています(Brache V, et al. Hum Reprod. 2013)。
ただし、すでに排卵が完了している場合には、いずれの緊急避妊薬でも効果は期待できません。
緊急避妊薬はあくまで「排卵前」に作用する薬であり、受精卵の発育を止める中絶薬とは作用機序がまったく異なります。
エラの効果・効能
- 緊急避妊:避妊に失敗した、または避妊措置をとらなかった性交の後、120時間(5日間)以内に服用することで妊娠の成立を防ぐ
臨床試験では、予測された妊娠率5.5%に対し、エラ服用後の妊娠率は2.1%と報告されています。エラは予測妊娠数の約6割を回避したとされています。
また、第III相臨床試験の統合解析では、性交後72時間以内に服用した場合の妊娠率は1.8%であり、レボノルゲストレルの2.6%を下回る結果が示されています。
ただし、緊急避妊薬は100%の避妊を保証するものではありません。服用後に生理が予定日から7日以上遅れている場合は、妊娠検査薬などで確認することをおすすめします。
エラの服用方法・使用方法
エラは性交後できるだけ早く、120時間(5日間)以内に1錠を水またはぬるま湯で服用します。食事の有無を問わず服用できます。
| 用法・用量 | 1回1錠を水またはぬるま湯で服用 |
|---|---|
| 1回の用量 | 1錠(ウリプリスタル酢酸エステル30mg) |
| 服用タイミング | 性交後できるだけ早く(120時間以内) |
| 食事の影響 | なし(食前・食後いずれも可) |
| 服用回数 | 1回のみ |
使用上の注意
- 服用後3時間以内に嘔吐した場合は、再度1錠を服用してください
- 常用の避妊薬ではありません(緊急時のみの使用に限ります)
- エラ服用後にホルモン避妊薬(低用量ピル等)を開始・再開する場合は、最低5日間空けてください
- 次の生理が来るまでは、コンドーム等のバリア法を併用してください
- 性感染症(STI)に対する予防効果はありません
Atsuエラは食事の影響を受けにくいため、空腹時・食後いずれのタイミングでも服用できます。
服用後3時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬が十分に吸収されていない可能性があるため、もう1錠を追加で服用してください。
3時間以上経過していれば、有効成分はすでに吸収されていると考えられるため、追加服用の必要はありません。
なお、エラ服用後にホルモン避妊薬(低用量ピルなど)を開始または再開する場合は、少なくとも5日間の間隔を空ける必要があります。
これは、エラがプロゲステロン受容体に作用するため、プロゲスチンを含む避妊薬と同時に体内に存在すると互いの薬理作用が競合し、双方の効果が減弱するおそれがあるためです。
ホルモン避妊薬の再開までの間は、コンドームなどのバリア法による避妊を継続してください。
エラとレボノルゲストレル製剤の比較
緊急避妊薬として広く使用されている2種類の薬を比較します。
| 項目 | エラ (ウリプリスタル酢酸エステル) | ノルレボ等 (レボノルゲストレル) |
|---|---|---|
| 有効期間 | 性交後120時間(5日間)以内 | 性交後72時間(3日間)以内 |
| 72時間以内の妊娠率 | 約1.8% | 約2.6% |
| 作用機序 | LHサージ後も排卵抑制が可能 | LHサージ開始後は排卵抑制が困難 |
| 薬理分類 | 選択的プロゲステロン受容体修飾剤 | 合成黄体ホルモン |
| 用量 | 30mg×1錠 | 1.5mg×1錠 |
エラはレボノルゲストレル製剤と比較して、有効期間が約2日間長く、臨床試験において72時間以内に服用した場合でもやや低い妊娠率が報告されています。特にLHサージ開始後でも排卵抑制効果を発揮しうる点は、薬理学的に大きなアドバンテージといえます。
ただし、いずれの薬剤も服用が早いほど効果が高く、緊急避妊薬の選択にあたっては入手までの時間も考慮することが重要です。
エラの警告・禁忌・副作用
禁忌(服用できない方)
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- ウリプリスタル酢酸エステルに対して過敏症の既往歴がある方
- 乳糖不耐症、先天性グルコース・ガラクトース吸収不全症の方
副作用
エラで起こる可能性のある主な副作用は以下のとおりです。
- 頭痛(18%)
- 悪心・吐き気(12%)
- 腹痛(12%)
- 月経痛(9%)
- 倦怠感(6%)
- めまい(5%)
- 生理不順、不正出血
これらの副作用の多くは一時的なもので、数日以内に自然に治まることがほとんどです。ただし、服用後3〜5週間経っても生理が来ない場合は妊娠の可能性があるため、妊娠検査を行ってください。
Atsuエラの副作用として報告頻度が高いのは頭痛(18%)と悪心(12%)ですが、いずれも一時的な症状であり、通常は数日以内に軽快します。
服用後に生理のタイミングが前後にずれることがありますが、これはホルモンバランスへの一時的な影響によるもので、多くの場合は次の月経周期で正常に戻ります。
予定日から7日以上生理が遅れている場合は、妊娠の可能性を否定できないため、市販の妊娠検査薬で確認してください。
また、服用後に強い下腹部痛が生じた場合は、異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診することが必要です。
エラの他の薬との相互作用
併用に注意すること
CYP3A4誘導薬
ウリプリスタル酢酸エステルは主にCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4を誘導する薬剤と併用するとエラの血中濃度が低下し、避妊効果が減弱するおそれがあります。
- リファンピシン
- フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
胃酸分泌抑制薬
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなど、胃内のpHを上昇させる薬剤との併用により、エラの吸収が低下し効果が減弱する可能性が指摘されています。
- オメプラゾール、ランソプラゾール等のPPI製剤
- ファモチジン等のH2受容体拮抗薬
ホルモン避妊薬
プロゲスチンを含むホルモン避妊薬は、ウリプリスタル酢酸エステルの排卵抑制効果を打ち消すおそれがあります。エラ服用後にホルモン避妊薬を再開する場合は、最低5日間の間隔を空けてください。
- 低用量ピル(経口避妊薬)
- 黄体ホルモン単独製剤(ミニピル)
エラの注意事項
- 常用の避妊薬ではありません(緊急時のみの使用に限ります)
- 妊娠中の方は服用できません
- すでに排卵が完了している場合は効果がありません
- 服用後に生理が7日以上遅れている場合は、妊娠検査を行ってください
- 授乳中の方は服用後36時間は授乳を避けてください
- 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
エラのよくある質問
エラはいつまでに飲めばよいですか?
性交後120時間(5日間)以内に服用してください。ただし、服用が早いほど避妊効果は高まります。
従来のレボノルゲストレル製剤が72時間以内であるのに対し、エラは120時間以内まで有効とされています。
エラを飲んだ後に嘔吐してしまったらどうすればよいですか?
服用後3時間以内に嘔吐した場合は、もう1錠を追加で服用してください。3時間を過ぎていれば、薬はすでに吸収されていると考えられるため、追加服用は不要です。
エラを飲んだ後にピルを再開できますか?
エラ服用後、ホルモン避妊薬(低用量ピルなど)を再開するまでに少なくとも5日間の間隔を空けてください。
エラはプロゲステロン受容体に作用するため、プロゲスチンを含む避妊薬と併用すると互いの効果を打ち消しあうおそれがあります。再開までの間はコンドーム等のバリア法で避妊してください。
エラを飲めば確実に妊娠を防げますか?
エラは高い確率で妊娠を回避できますが、100%の避妊効果を保証するものではありません。臨床試験では予測妊娠率5.5%に対し、エラ服用後の妊娠率は2.1%と報告されています。
服用後に予定日から7日以上生理が遅れている場合は、妊娠検査薬で確認してください。
エラに副作用はありますか?
主な副作用として頭痛(18%)、悪心(12%)、腹痛(12%)などが報告されています。これらは一時的な症状であり、通常は数日以内に自然に治まります。
また、服用後に生理のタイミングがずれることがありますが、多くの場合は次の月経周期で正常に戻ります。
エラに関連する添付文書等の参考資料
エラの有効成分(ウリプリスタル酢酸エステル)に関する参考資料を以下に掲載します。