モルヌビッド(新型コロナウイルス感染症治療薬:ラゲブリオ ジェネリック)
モルヌビッド(Molnuvid 200)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に用いられるラゲブリオカプセル200mg(モルヌピラビル製剤)のジェネリック医薬品です。有効成分モルヌピラビルは、ウイルスのRNA複製時にエラーを蓄積させることで増殖を阻害する経口抗ウイルス薬です。
症状発現から5日以内に服用を開始し、1回800mg(4カプセル)を1日2回、5日間服用します。臨床試験(MOVe-OUT試験)では、入院または死亡のリスクをプラセボ群と比較して約30%低減させることが示されています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
モルヌビッドの概要
- 有効成分モルヌピラビル200mgを含有する経口抗ウイルス薬
- 先発品ラゲブリオカプセル200mg(MSD社)のジェネリック医薬品
- 1回4カプセル(800mg)を1日2回、5日間服用
- 入院・死亡リスクを約30%低減(MOVe-OUT試験)
- オミクロン株を含む主要な変異株に有効性が確認されている
モルヌビッドは、インドの製薬会社Healing Pharma(ヒーリングファーマ)社が製造販売するジェネリック医薬品です。先発品ラゲブリオと同じ有効成分モルヌピラビルを同量含有しており、日本では2021年12月に特例承認された抗ウイルス薬と同等の効果が期待できます。
| 商品名 | モルヌビッド(Molnuvid 200) |
|---|---|
| 有効成分 | モルヌピラビル(Molnupiravir)200mg/カプセル |
| 先発薬 | ラゲブリオカプセル200mg(MSD社) |
| 適応症 | SARS-CoV-2による感染症(軽症〜中等症) |
| 剤形 | カプセル剤 |
| 内容量 | 40カプセル |
| 製造元 | Healing Pharma India Pvt. Ltd.(インド) |
Atsuモルヌビッドは1箱40カプセル入りで、これが5日間の治療に必要な量(1回4カプセル×1日2回×5日間=40カプセル)に相当します。
つまり、1箱で1回分の治療(1コース)が完了する計算です。
複数箱のまとめ買いは、ご家族分の備蓄や将来の感染に備える目的が想定されるでしょう。
なお、モルヌピラビルは使用期限内であっても高温多湿を避けて保管する必要があるため、備蓄の際は保管環境にもご注意ください。
モルヌビッドはこんな方におすすめ
- 新型コロナウイルスに感染し、軽症〜中等症の段階で早期治療を行いたい方
- 61歳以上の方や基礎疾患(糖尿病、慢性腎臓病、肥満など)があり重症化リスクが高い方
- 自宅で経口薬による治療を希望する方
- 万が一の感染に備えて治療薬を常備しておきたい方
モルヌビッドの有効成分について
モルヌビッドの有効成分モルヌピラビル(Molnupiravir)は、リボヌクレオシドアナログと呼ばれる抗ウイルス薬です。体内で活性代謝物(NHC三リン酸)に変換され、ウイルスのRNAポリメラーゼに取り込まれます。
取り込まれたNHCはウイルスRNA複製時に致死的な変異(エラー)を蓄積させ、ウイルスが正常に増殖できなくなる「エラーカタストロフ」と呼ばれる現象を引き起こします。
この作用機序はウイルスの変異に左右されにくいため、オミクロン株(BA.2、BA.5、BA.2.75系統など)を含む幅広い変異株に対して有効性が確認されています。
モルヌビッドの効果・効能
- SARS-CoV-2による感染症(重症化リスク因子を有する軽症〜中等症)
MOVe-OUT第3相臨床試験では、モルヌピラビル800mgを1日2回・5日間投与した群において、入院または死亡の割合が6.8%であったのに対し、プラセボ群では9.7%でした。また、投与3日目の時点でウイルスRNA量の有意な減少が確認されています。
なお、予防投与としての有効性は確認されていません。あくまで感染後の早期治療を目的とした医薬品です。
モルヌビッドの服用方法
| 対象 | 18歳以上 |
|---|---|
| 1回の用量 | 4カプセル(モルヌピラビルとして800mg) |
| 1日の服用回数 | 2回(約12時間間隔) |
| 服用期間 | 5日間 |
| 服用開始 | 症状発現から5日以内 |
| 服用方法 | 水またはぬるま湯で、カプセルを噛んだり開けたりせずそのまま服用 |
| 食事の影響 | なし(食前・食後を問わず服用可能) |
服用時の注意点
- 症状が改善しても5日間の服用を必ず完了してください。自己判断で中止するとウイルスが十分に抑制されない可能性があります
- 飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用しましょう。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、2回分を一度に服用しないでください
- 症状発現から6日以上経過した場合は、有効性を裏付けるデータが得られていないため、服用の適否について医師にご確認ください
Atsuモルヌビッドは「発症後できるだけ早く」服用を開始することが治療効果を左右する重要なポイントです。
臨床試験では症状発現から5日以内に投与を開始した方のみが対象とされており、6日以上経過した場合の有効性データはありません。
そのため、万が一に備えて手元に常備しておき、陽性が判明した時点で速やかに服用を開始できる体制を整えておくことをお勧めします。
なお、1回4カプセルと服用数が多いため、十分な量の水またはぬるま湯とともに服用してください。
カプセルを噛んだり開けたりせず、そのまま飲み込むようにしましょう。
モルヌビッドの対象となる重症化リスク因子
モルヌビッド(モルヌピラビル)は、原則として以下のような重症化リスク因子を1つ以上有する18歳以上の方が対象です。
- 61歳以上
- 活動性のがんに罹患している方
- 慢性腎臓病の方
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方
- 肥満(BMI 30kg/m2以上)の方
- 重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患、心筋症)のある方
- 糖尿病の方
- 臓器移植後・骨髄移植後・幹細胞移植後の方
- コントロール不良のHIV感染症の方
上記以外にも、医師が重症化リスクが高いと判断した場合は使用対象となることがあります。該当するかどうか不明な場合は、医師にご相談ください。
モルヌビッドの警告・禁忌・副作用
警告
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないでください。動物実験で催奇形性、胚・胎児致死、発育遅延が報告されています
- 妊娠する可能性のある女性は、服用期間中および服用終了後4日間は確実な避妊を行ってください
禁忌
- モルヌピラビルに対して過敏症(アレルギー反応など)の既往歴がある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性
副作用
臨床試験(モルヌピラビル800mg群)では、副作用の総発現頻度は12.4%と報告されています。主な副作用は以下の通りです。
| 関係部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 消化器 | ・下痢(3.1%) ・悪心(2.3%) ・嘔吐 |
| 精神神経系 | 浮動性めまい(1.3%)、頭痛(1.0%) |
| 皮膚 | ・発疹 ・蕁麻疹 ・中毒性皮疹 ・紅斑 ・血管性浮腫 |
| 過敏症 | アナフィラキシー |
※(%)表記は臨床試験での発現頻度。その他は1%未満または頻度不明
Atsu下痢や悪心は服用開始直後に現れることが多いものの、多くの場合は一過性であり、服用を続けるうちに軽減する傾向があります。
一方、注意が必要なのは重篤な皮膚障害(中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑)やアナフィラキシーです。
全身の皮疹・水疱、粘膜のただれ、高熱、喉の違和感、息苦しさなどが現れた場合は、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
なお、COVID-19そのものの症状と副作用の症状が重なる場合もあるため、体調に普段と異なる変化を感じた際は、自己判断せず医師や薬剤師にご相談いただくことをお勧めします。
モルヌビッドの他の薬との相互作用
モルヌビッド(モルヌピラビル)の併用禁忌薬および併用注意薬は添付文書上では「なし」とされています。ただし、以下のCOVID-19治療薬との併用については注意が必要です。
併用に注意すること
他のCOVID-19治療薬
以下の治療薬とモルヌビッドを併用した場合、治療の経過に影響が生じる可能性があります。
- ファビピラビル(アビガン)は同じRNA複製阻害の作用機序を持つため、併用による相加効果や相互干渉の可能性があります
- レムデシビル(ベクルリー)は点滴静注薬であり、入院環境で使用されるため併用の場面は限られますが、医師の判断が必要です
- 現在服用中の薬がある場合は、医師または薬剤師にご確認ください
モルヌビッドの注意事項
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性は服用できません(動物実験で催奇形性が報告されています)
- 妊娠する可能性のある女性は、服用期間中および服用終了後4日間は確実な避妊を行ってください
- 授乳中の方は、服用中および服用後4日間は授乳を避けてください
- 18歳未満の方への有効性・安全性は確立されていません
- 症状が出始めてから6日以上経過した場合は、有効性データがないため医師にご相談ください
- 症状が改善しても自己判断で中止せず、必ず5日間服用を続けてください
- 余った薬剤を他人に譲渡しないでください
- 高温多湿・直射日光を避け、室温で保管してください
Atsuモルヌビッドで最も重要な注意点は妊娠に関するリスクです。
動物実験(ラット・ウサギ)において催奇形性や胚・胎児致死が報告されており、妊娠中の方は絶対に服用できません。
妊娠の可能性がある女性は、服用前に妊娠検査を行うことが推奨されます。
服用期間中および最終服用後4日間は確実に避妊を行ってください。
また、男性に関しても、動物実験で精子への影響が報告されていることから、ラゲブリオの添付文書では服用中および最終服用後3ヶ月間は確実な避妊が求められています。
パートナーが妊娠を希望している場合は、この点を十分にご理解のうえ服用を判断しましょう。
モルヌビッドのよくある質問
モルヌビッドはいつ飲み始めればいいですか?
症状が出てから5日以内に服用を開始してください。できるだけ早い段階での服用開始が望ましいです。
臨床試験では、症状発現から6日以上経過してから服用を開始した場合の有効性は確認されていません。感染が判明したら速やかに服用を開始することが大切です。
ラゲブリオとモルヌビッドの違いは何ですか?
有効成分・含有量・用法用量はすべて同じです。ラゲブリオはMSD社が製造する先発品で、モルヌビッドはHealing Pharma社が製造するジェネリック医薬品です。
いずれも1カプセルあたりモルヌピラビル200mgを含有しており、1回4カプセル(800mg)を1日2回、5日間服用する点は同一です。
モルヌビッドは予防目的で服用できますか?
予防目的での使用は承認されていません。モルヌビッドはあくまで感染後に症状が出た段階で服用する治療薬です。
ただし、感染に備えてあらかじめ手元に常備しておくことは可能です。陽性判定後、すぐに服用を開始できるよう準備しておくことで、発症早期の治療開始につなげることができます。
モルヌビッドは女性も服用できますか?
妊娠中・妊娠の可能性がある女性以外であれば服用可能です。ただし、妊娠する可能性のある女性は服用中および服用終了後4日間、確実な避妊を行う必要があります。
また、授乳中の方は服用中および服用後4日間は授乳を控えてください。これは動物実験で催奇形性が報告されていることに基づく安全対策です。
なお、男性についても服用中および最終服用後3ヶ月間は避妊が推奨されている点にご留意ください。