イブレアクリーム(酒さ治療薬:イベルメクチン)
イブレアクリーム(Ivrea Cream)は、有効成分イベルメクチン1%を配合した外用薬で、酒さ(しゅさ)の丘疹膿疱型の治療に用いられる医薬品です。
イベルメクチンは抗寄生虫作用と抗炎症作用の両方を持ち、酒さの発症に関与するとされるニキビダニ(Demodex folliculorum)の活動を抑制するとともに、皮膚の炎症反応を抑えることで丘疹・膿疱を改善します。1日1回の塗布で効果を発揮し、使用しやすい外用薬です。
米国では2014年にFDAがイベルメクチン1%クリーム(ソーランチェ / Soolantra)を酒さの丘疹膿疱型の治療薬として承認しました。イブレアクリームはこのソーランチェと同じ有効成分・同じ濃度を含有するジェネリック医薬品に該当します。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
イブレアクリームの概要
- イベルメクチン1%を配合した酒さ治療用外用薬(ソーランチェのジェネリック)
- 酒さの丘疹(ぶつぶつ)や膿疱(膿を持った吹き出物)を改善
- 抗寄生虫作用と抗炎症作用の二重の作用機序
- 1本30g入り
- アジャンタファーマが製造
イブレアクリームの製造元はアジャンタファーマ(Ajanta Pharma)です。アジャンタファーマは1973年にインド・ムンバイで創業した製薬企業で、ジェネリック医薬品を中心に世界30か国以上に製品を供給しています。
| 商品名 | イブレアクリーム(Ivrea Cream) |
|---|---|
| 内容量 | 30g(1本) |
| 効果・効能 | 酒さ(丘疹膿疱型)の治療 |
| 有効成分 | イベルメクチン 1%(10mg/g) |
| 副作用 | 皮膚の灼熱感・刺激感、乾燥、かゆみ、発疹(まれ)、使用初期の一時的な症状悪化 |
| 形状・剤形 | クリーム(外用) |
| ブランド | アジャンタファーマ(Ajanta Pharma) |
Atsuイブレアクリームは、2014年に米国FDAが酒さの丘疹膿疱型の治療薬として承認したソーランチェ(Soolantra)のジェネリック医薬品です。
ソーランチェの臨床試験(第III相試験)では、イベルメクチン1%クリームを12週間使用した結果、IGA(Investigator’s Global Assessment:医師による総合評価)スコアで「消失(clear)」または「ほぼ消失(almost clear)」と判定された割合が約38.4〜40.1%に達しました。
一方、基剤のみのプラセボ群では約11.6〜18.8%にとどまり、統計学的に有意な差が認められています(Stein Gold L, et al. J Drugs Dermatol. 2014;13(11):1380-1386)。
なお、日本国内ではイベルメクチン外用クリームは承認されていません。
日本の酒さ治療では、メトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)が2022年5月に保険適用となっています。
イブレアクリームは1日1回の塗布で効果を発揮するのに対し、ロゼックスゲルは1日2回の塗布が必要であり、使用の手軽さという点でイブレアクリームには利点があるものの、両剤は作用機序が異なるため、単純な優劣比較はできません。
メトロニダゾールは主に抗炎症・抗菌作用により酒さを改善するのに対し、イベルメクチンはニキビダニへの駆除作用と抗炎症作用を併せ持つ点が特徴的です。
イブレアクリームはこんな方におすすめ
- 酒さによる顔の丘疹や膿疱に悩んでいる方
- メトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)で十分な改善が得られなかった方
- 1日1回の塗布で手軽に治療を続けたい方
- FDA承認の酒さ治療成分を試したい方
- ソーランチェと同等の効果をより手頃な価格で得たい方
イブレアクリームの有効成分について
イブレアクリームには、抗寄生虫・抗炎症作用を持つイベルメクチンが1%(1gあたり10mg)配合されています。
イベルメクチンは外用で使用した場合、酒さに対して2つの作用機序で効果を発揮するとされています。ひとつは、酒さの発症・悪化に関与するとされるニキビダニ(Demodex folliculorum)の駆除作用です。ニキビダニは健常者の毛包にも常在していますが、酒さの方では異常に増殖していることが複数の研究で報告されています。
もうひとつは抗炎症作用です。イベルメクチンは炎症性サイトカインの産生を抑制し、皮膚の炎症反応を軽減することで赤みや腫れを改善します。
Atsuイベルメクチンは経口薬としてもよく知られた成分で、2015年のノーベル生理学・医学賞の対象となった大村智博士の研究から生まれた抗寄生虫薬です。
経口イベルメクチン(ストロメクトール錠)は腸管糞線虫症や疥癬の治療に使用されていますが、イブレアクリームは外用製剤(皮膚に塗布するクリーム)であり、全身への吸収は極めて限定的です。
そのため、経口イベルメクチンで報告される全身性の副作用が生じるリスクは低いとされています。
酒さの方の皮膚では、健常者と比較してニキビダニの密度が約5から18倍に増加しているとの報告があります。
イベルメクチンはこのニキビダニに直接作用するとともに、炎症反応そのものも抑制する二重の作用により、酒さの症状改善に寄与すると考えられています。
イブレアクリームの効果・効能
- 酒さ(丘疹膿疱型)の治療:顔の丘疹(赤いぶつぶつ)や膿疱(膿を持った吹き出物)を軽減
ソーランチェの臨床試験(第III相試験、2試験合計)では、イベルメクチン1%クリームを12週間使用した結果、IGA(医師総合評価)スコアで「消失」または「ほぼ消失」と判定された方の割合が約38から40%に達しました。プラセボ群では約11から18%であり、統計学的に有意な差が確認されています。
効果は使用開始後4週間程度で現れ始め、12から16週間の継続使用で最大効果が得られるとされています。酒さの赤み(紅斑)に対しては直接的な効果は限定的であり、主に丘疹・膿疱の改善に特化した薬剤です。
イブレアクリームの使用方法
イブレアクリームは1日1回、洗顔後に患部に薄く塗布します。
| 用法・用量 | 1日1回、患部に薄く塗布 |
|---|---|
| 塗布量の目安 | 額・頬・鼻・あごにそれぞれエンドウ豆大 |
| 使用タイミング | 洗顔・スキンケア後 |
| 治療期間の目安 | 最大16週間(医師の指示に従う) |
使用上の注意
- 洗顔後、肌が乾いた状態で塗布してください
- 眼、口、鼻腔内、粘膜部位への塗布は避けてください
- 塗布後は日焼け止めを使用してください(酒さの方は紫外線で症状が悪化することがあります)
- 効果が現れるまでに4週間程度かかることがあります(すぐに中止しないでください)
Atsuイブレアクリームの使用を開始した直後に、一時的に症状が悪化したように感じる場合があります。
これはニキビダニが死滅する過程で炎症反応が一時的に増強されるためと考えられており、通常は使用を継続するうちに改善していきます。
ただし、2週間以上経過しても悪化が続く場合や、強い痛み・腫れが生じた場合は使用を中止して医師に相談してください。
また、酒さの方は紫外線、アルコール、香辛料、高温環境などの刺激で症状が悪化しやすいため、イブレアクリームの使用と併せて生活環境の見直しも重要です。
イブレアクリームの警告・禁忌・副作用
禁忌(使用できない方)
- イベルメクチンに対して過敏症の既往歴がある方
副作用
イブレアクリームで起こる可能性のある主な副作用は以下のとおりです。
- 皮膚の灼熱感、刺激感
- 乾燥、かゆみ
- 発疹(まれ)
- 使用初期の一時的な症状悪化
これらの副作用の多くは軽度で一時的なものです。強い刺激やアレルギー症状(腫れ、蕁麻疹、呼吸困難など)が現れた場合は、使用を中止して医師にご相談ください。
Atsuイベルメクチン1%クリームの副作用は、塗布部位に限定された局所的な症状がほとんどです。
ソーランチェの臨床試験では、副作用の発現率はプラセボ群と大きな差がなく、安全性が高い外用薬であることが確認されています。
外用製剤であるため皮膚からの全身吸収は極めて少なく、経口イベルメクチンで報告される全身性の副作用(めまい、消化器症状など)が生じるリスクは非常に低いとされています。
妊娠中・授乳中の方については、安全性のデータが十分ではないため、使用前に医師にご相談ください。
イブレアクリームの注意事項
- 眼や口腔内、粘膜部位には使用しないでください
- 塗布後は日焼け止めを使用してください
- 効果が実感できるまでに4週間程度かかることがあります
- 妊娠中・授乳中の方は使用前に医師にご相談ください
- 酒さを悪化させる要因(紫外線、アルコール、香辛料、高温環境)を避けてください
- 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
イブレアクリームのよくある質問
イブレアクリームとロゼックスゲルの違いは何ですか?
イブレアクリームの有効成分はイベルメクチン、ロゼックスゲルの有効成分はメトロニダゾールであり、成分が異なります。
イブレアクリームは1日1回の塗布で効果を発揮するのに対し、ロゼックスゲルは1日2回の塗布が必要です。また、イベルメクチンはニキビダニへの直接的な駆除作用を持つ点がメトロニダゾールとの大きな違いです。
酒さの赤みにも効果がありますか?
イブレアクリームは主に丘疹(赤いぶつぶつ)と膿疱(膿を持った吹き出物)の改善に効果がある薬剤です。酒さに伴う持続的な赤み(紅斑)に対する直接的な効果は限定的です。
紅斑が主な悩みの場合は、別の治療法(ブリモニジン外用薬など)が適している可能性があるため、医師に相談してください。
効果が出るまでどのくらいかかりますか?
臨床試験では、4週間程度で改善の兆候が現れ始め、12から16週間の継続使用で最大効果が得られるとされています。
使用開始直後に一時的に症状が悪化することがありますが、これはニキビダニが死滅する過程で生じる一時的な反応と考えられています。2週間程度で改善することがほとんどです。
ニキビにも使えますか?
イブレアクリームの承認適応は酒さ(丘疹膿疱型)であり、一般的なニキビ(尋常性ざ瘡)への使用は承認されていません。
酒さとニキビは症状が似ていますが、原因や治療法が異なります。ニキビの治療にはアダパレンやベンゾイルペルオキシドなどの外用薬が適しています。
日本の病院で処方される薬と同じですか?
イベルメクチン外用クリームは日本では承認されていません。日本の酒さ治療ではメトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)が主に使用されています。
イブレアクリームは、米国FDAが承認したソーランチェ(Soolantra)と同じ有効成分・同じ濃度を含有するジェネリック医薬品です。
イブレアクリームに関連する添付文書等の参考資料
イブレアクリームの有効成分(イベルメクチン)に関する参考資料を以下に掲載します。