タミフル(抗インフルエンザ薬:オセルタミビル)
タミフル(Tamiflu)は、有効成分オセルタミビルリン酸塩75mgを配合した抗インフルエンザウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)です。
インフルエンザウイルスの増殖に不可欠なノイラミニダーゼという酵素の働きを阻害することで、ウイルスが感染細胞から遊離して周囲の細胞へ拡散するのを防ぎます。A型・B型両方のインフルエンザウイルスに対して効果を発揮し、治療だけでなく予防目的での服用も承認されている薬剤です。
1999年に米国で承認されて以来、世界中でインフルエンザ治療薬として広く使用されてきました。日本でも毎年のインフルエンザシーズンに多数処方されており、豊富な使用実績を持つ薬剤として知られています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
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また、タミフルの口コミ・効果・感想(レビュー)もございますので、こちらもぜひご覧ください。

タミフルの概要
- オセルタミビルリン酸塩75mgを配合したノイラミニダーゼ阻害薬の先発医薬品
- A型・B型インフルエンザウイルスの両方に有効
- インフルエンザの治療と予防の両方に使用可能
- 1箱10カプセル入り(治療用1コース分)
- ロシュが開発・製造
タミフルの開発元はロシュ(F. Hoffmann-La Roche AG)です。ロシュはスイス・バーゼルに本社を置くグローバル製薬企業で、医薬品とin vitro診断薬の両分野において世界をリードする企業です。日本では中外製薬がロシュグループの一員としてタミフルの製造販売を行っています。
| 商品名 | タミフル(Tamiflu) |
|---|---|
| 内容量 | 10カプセル |
| 効果・効能 | ・A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療 ・A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の予防 |
| 有効成分 | オセルタミビルリン酸塩 75mg |
| 副作用 | ・腹痛、下痢、吐き気 ・頭痛、めまい ・発疹(まれ) |
| 形状・剤形 | カプセル剤 |
| ブランド | ロシュ(Roche) |
Atsuタミフルは、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬であり、ウイルスを直接殺滅する薬ではありません。そのため、インフルエンザの症状が出てから48時間以内に服用を開始することが重要です。
48時間を超えてからの服用では、すでにウイルスの増殖がピークに近い段階にあるため、十分な効果が得られない可能性があります。
臨床試験では、タミフルを適切な時期に服用した場合、症状の回復がプラセボ(偽薬)と比較して約1日早まったと報告されています。
タミフルはこんな方におすすめ
- インフルエンザの症状(高熱、関節痛、倦怠感など)が出始めた方
- 家族や職場でインフルエンザに感染した方がおり、予防したい方
- インフルエンザの流行期に備えて手元に置いておきたい方
- 重症化リスクが高い方(高齢の方、基礎疾患のある方)の感染予防
タミフルの有効成分について
タミフルには、ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルリン酸塩が75mg配合されています。オセルタミビルは経口投与後に体内で活性代謝物(オセルタミビルカルボン酸塩)に変換されるプロドラッグです。
インフルエンザウイルスは宿主の細胞に感染して増殖した後、ウイルス表面のノイラミニダーゼという酵素を使って細胞表面から遊離し、周囲の細胞に次々と感染を拡大させます。
オセルタミビルの活性代謝物はこのノイラミニダーゼを選択的に阻害することで、新たに増殖したウイルスが感染細胞から放出されるのを防ぎ、ウイルスの拡散を抑制します。
Atsuオセルタミビルは経口で服用するタイプのノイラミニダーゼ阻害薬です。
同じノイラミニダーゼ阻害薬にはザナミビル(リレンザ:吸入薬)やラニナミビル(イナビル:吸入薬)がありますが、オセルタミビルは経口カプセル製剤であるため、吸入が困難な方(小児や高齢者など)にも使用しやすいという利点があります。
また、オセルタミビルの活性代謝物は気道を含む全身に広く分布し、インフルエンザウイルスの主な感染部位である呼吸器での効果が期待できます。
なお、オセルタミビルはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに選択的に作用するため、一般的な風邪(ライノウイルスやアデノウイルス等が原因のもの)には効果がありません。
タミフルの効果・効能
- A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療:発症後48時間以内の服用で症状の回復を促進
- A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の予防:感染者との接触後の発症リスクを低減
臨床試験では、インフルエンザ発症後48時間以内にタミフルの服用を開始した場合、プラセボ群と比較して症状の改善が約1日早まることが確認されています。
予防目的での服用では、インフルエンザ感染者と接触した家族を対象とした臨床試験において、タミフル服用群の発症率はプラセボ群の約6分の1に抑えられたと報告されています。
ただし、タミフルはインフルエンザワクチンに代わるものではありません。インフルエンザ予防の基本はワクチン接種であり、タミフルは補助的な予防手段として位置づけられています。
タミフルの服用方法・使用方法
タミフルは治療と予防で用法・用量が異なります。いずれの場合も水またはぬるま湯で服用してください。
| 項目 | 治療 | 予防 |
|---|---|---|
| 1回の用量 | 75mg(1カプセル) | 75mg(1カプセル) |
| 服用回数 | 1日2回(朝・夕) | 1日1回 |
| 服用期間 | 5日間 | 7〜10日間 |
| 服用開始のタイミング | 発症後48時間以内 | 感染者との接触後48時間以内 |
| 食事の影響 | 食事の有無を問わず服用可 | 食事の有無を問わず服用可 |
使用上の注意
- 治療目的の場合、発症後48時間以内に服用を開始してください(48時間を超えると効果が十分に発揮されない可能性があります)
- 症状が改善しても、処方された期間(5日間)は服用を続けてください(途中で中止すると耐性ウイルスが出現するおそれがあります)
- 胃の不快感を軽減するため、食後の服用が望ましいでしょう
- 10代の方が服用する場合は、異常行動への注意が必要です(後述の副作用セクション参照)
Atsuタミフルの治療効果を最大限に発揮するには、インフルエンザの症状が出てから48時間以内に服用を開始することが重要です。
インフルエンザウイルスは感染後急速に増殖し、通常48〜72時間で増殖のピークに達します。タミフルはウイルスの拡散を抑制する薬であるため、ウイルス量がまだ少ない早い段階で服用を開始するほど高い効果が期待できるのです。
また、治療目的で服用する場合は、症状が改善しても5日間の服用を必ず完了してください。途中で服用を中止すると、体内に残存したウイルスに対して薬剤耐性が誘導される可能性があり、ご本人だけでなく周囲への感染拡大にもつながりかねません。
タミフルの警告・禁忌・副作用
警告
- 10代の方が服用する場合は、インフルエンザ罹患中の異常行動に注意してください(急に走り出す、徘徊する等の行動が報告されています。タミフルとの因果関係は明確になっていませんが、少なくとも服用開始後2日間は一人にしないなどの配慮が必要です)
禁忌(服用できない方)
- オセルタミビルリン酸塩に対して過敏症の既往歴がある方
副作用
タミフルで起こる可能性のある主な副作用は以下のとおりです。
- 腹痛、下痢
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛、めまい
- 発疹、蕁麻疹(まれ)
- 不眠
これらの副作用の多くは軽度で一時的なものです。食後に服用することで消化器症状を軽減できる場合があります。
重篤な副作用
ごくまれに、以下のような重篤な副作用が報告されています。
- ショック、アナフィラキシー
- 肺炎
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症
- 出血性大腸炎
- 精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚等)
Atsuタミフルと異常行動の関連性は、長年にわたり議論されてきたテーマです。
厚生労働省の調査研究班による報告では、インフルエンザ罹患時の異常行動はタミフルの服用の有無にかかわらず発生しており、タミフル固有の副作用とは結論づけられていません。これを踏まえ、2018年にはそれまで設けられていた10代への原則使用差し控えの措置が解除されています。
ただし、安全性への配慮から、未成年者がタミフルを服用する際は少なくとも服用開始後2日間は保護者が目を離さないよう注意してください。この注意はタミフルに限らず、すべての抗インフルエンザ薬に共通するものです。
なお、消化器症状(吐き気、嘔吐など)はタミフルで比較的多く見られる副作用ですが、食後に服用することで軽減されることがほとんどです。
タミフルの他の薬との相互作用
併用に注意すること
ワルファリン
タミフルとワルファリンを併用した場合、ワルファリンの抗凝固作用に影響が生じる可能性が報告されています。臨床試験では有意な相互作用は確認されていませんが、ワルファリン服用中の方は念のため注意が必要です。
- ワルファリン(ワーファリン):INR値のモニタリングが望ましい
インフルエンザ生ワクチン
タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を阻害するため、経鼻投与型のインフルエンザ生ワクチン(弱毒化ワクチン)の効果を減弱させるおそれがあります。
- 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト等):タミフル服用前後2週間は生ワクチンの接種を避けてください
タミフルの注意事項
- インフルエンザの発症後48時間以内に服用を開始してください
- 症状が改善しても5日間の服用を完了してください
- 10代の方は服用開始後2日間は一人にならないよう配慮してください
- 一般的な風邪には効果がありません(インフルエンザウイルス以外のウイルスには作用しません)
- 腎機能が低下している方は用量の調整が必要な場合があります
- 妊娠中・授乳中の方は服用前に医師にご相談ください
- 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
タミフルのよくある質問
タミフルはいつまでに飲み始めればよいですか?
インフルエンザの症状が出てから48時間以内に服用を開始してください。48時間を超えると、ウイルスがすでに十分に増殖しているため、タミフルの効果が十分に発揮されない可能性があります。
症状が現れたらできるだけ早く服用を開始することが大切です。
タミフルで風邪は治りますか?
タミフルはインフルエンザウイルスに対してのみ効果を発揮する薬であり、一般的な風邪には効果がありません。
風邪の原因となるライノウイルスやアデノウイルスなどにはノイラミニダーゼが関与しないため、タミフルは作用しません。
予防のために飲むことはできますか?
タミフルはインフルエンザの予防目的でも承認されています。感染者と接触した後48時間以内に服用を開始し、1日1回75mg(1カプセル)を7〜10日間服用します。
ただし、インフルエンザ予防の基本はワクチン接種であり、タミフルがワクチンの代わりになるものではありません。
症状がよくなっても5日間飲み続ける必要がありますか?
症状が改善しても、処方された5日間の服用を完了してください。途中で服用を中止すると、体内にウイルスが残存し、耐性ウイルスが出現するリスクがあります。
異常行動のリスクはありますか?
インフルエンザ罹患中の異常行動(急に走り出す、徘徊するなど)は、タミフルの服用の有無にかかわらず報告されています。厚生労働省の調査研究班による検討でも、タミフル固有の副作用であるとは結論づけられておらず、2018年には10代への使用制限が解除されました。
ただし、未成年の方が服用する場合は、服用開始後少なくとも2日間は保護者が目を離さないよう注意してください。この対応はタミフルに限らず、すべての抗インフルエンザ薬服用時に共通する注意事項です。
タミフルの口コミ・効果・感想(レビュー)
当サイトが独自に取材したタミフルの口コミ・効果・感想(レビュー)もございますので、こちらもぜひご覧ください。

タミフルに関連する添付文書等の参考資料
タミフルの有効成分(オセルタミビル)に関する参考資料を以下に掲載します。