プリリジー(早漏治療薬:ダポキセチン)
プリリジー(Priligy)は、有効成分ダポキセチン60mgを含有し、性行為の1〜3時間前に服用することで射精までの時間を延長する早漏治療薬です。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類され、脳内のセロトニン濃度を高めることで射精のコントロールを改善します。
プリリジーは世界60か国以上で承認されている先発医薬品であり、必要なときだけ服用する「オンデマンド型」の治療薬です。毎日の服用が不要で、臨床試験では初回服用時から射精時間の有意な延長が確認されています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
プリリジーの概要
- ダポキセチン60mgを含有するSSRI系早漏治療薬
- 性行為の1〜3時間前に服用するオンデマンド型
- 臨床試験で初回服用時から射精時間の有意な延長が確認されている
- 世界60か国以上で承認されている先発医薬品
- 1箱6錠入り
プリリジーの製造元はメナリーニ(Menarini)です。メナリーニは1886年にイタリア・フィレンツェで設立された国際的な製薬企業であり、医療用医薬品・OTC医薬品を世界100か国以上で展開しています。プリリジーは同社の男性向けヘルスケア製品として、早漏治療の分野で広く知られています。
| 商品名 | プリリジー(Priligy) |
|---|---|
| 有効成分 | ダポキセチン塩酸塩(Dapoxetine Hydrochloride)60mg |
| 内容量 | 6錠(1箱) |
| 効果・効能 | 早漏症の改善(射精までの時間を延長) |
| 用法・用量 | 性行為の1〜3時間前に1錠を水で服用 |
| 主な副作用 | ・吐き気 ・めまい・ふらつき ・頭痛 ・口の渇き |
| 形状・剤形 | フィルムコーティング錠 |
| ブランド | メナリーニ(Menarini) |
Atsuプリリジーは従来の抗うつ薬(SSRI)とは異なり、速やかに吸収・排泄される薬物動態を持っています。
一般的なSSRI(パロキセチンやセルトラリンなど)は毎日服用して定常状態に達するまでに数週間を要しますが、ダポキセチンは服用後約1.01〜1.27時間で最高血中濃度(Tmax)に達し、消失半減期も約1.3〜1.4時間と短いのが特徴です。
このため体内に蓄積しにくく、必要なときだけ服用するオンデマンドでの使用が可能となっています。
ただし、精神的な要因が大きく関与する早漏の場合は、薬物療法だけでなくカウンセリングや行動療法の併用も有効とされています。
プリリジーはこんな方におすすめ
- 射精までの時間が短く、パートナーとの性生活に悩んでいる方
- 毎日の服用ではなく、必要なときだけ使える治療薬を探している方
- 局所麻酔スプレーなどの感覚を鈍くする方法に抵抗がある方
- 先発医薬品として実績のある薬を使用したい方
プリリジーの有効成分について
プリリジーの有効成分はダポキセチン塩酸塩(Dapoxetine Hydrochloride)です。ダポキセチンは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類され、脳内のセロトニントランスポーター(SERT)を阻害してセロトニンの再取り込みを抑制し、神経間隙のセロトニン濃度を高めることで射精反射のコントロールを改善します。
射精は脊髄の射精中枢が担いますが、脳のセロトニン系が射精の抑制に関与しています。セロトニン濃度が高まると射精の閾値(しきい値)が上昇し、射精までの時間が延長されます。
ダポキセチンは服用後約1.01〜1.27時間で最高血中濃度に達し、初期消失半減期は約1.3〜1.4時間と短いため、体内に蓄積しにくく毎日服用する必要がありません。なお、終末相半減期は約19時間とされており、完全な消失にはより長い時間を要する点にも留意が必要です。
Atsuダポキセチンは早漏治療を目的として開発されたSSRIであり、抗うつ薬としては承認されていません。
一般的なSSRI(パロキセチンなど)では副作用として射精遅延が知られていましたが、この薬理作用に着目し、吸収・排泄が速い化合物として設計されたのがダポキセチンです。
局所麻酔薬(リドカインスプレーなど)が陰茎の感覚を鈍くすることで射精を遅延させるのに対し、ダポキセチンは中枢神経系に作用してセロトニンによる射精抑制メカニズムを増強します。
感覚の低下を望まない方にとっては、作用機序の異なる選択肢として位置づけられます。
プリリジーの効果・効能
プリリジーは早漏症(PE:Premature Ejaculation)の改善に使用されます。
海外の臨床試験(22か国・1,162名を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験)では、ダポキセチン60mgの服用により以下の効果が確認されています。
| 評価項目 | 初回服用時 | 24週間継続後 |
|---|---|---|
| 膣内射精潜時(IELT) | 平均2.5分(2.8倍に延長) | 平均3.9分(4.3倍に延長) |
| 早漏改善率 | ─ | 72.4% |
継続服用するほど射精コントロールの改善が報告されており、24週間の服用で治療開始前の約4倍以上に射精時間が延長されています。
プリリジーの服用方法
プリリジーは性行為の1〜3時間前に1錠を水またはぬるま湯で服用します。
| 1回の服用量 | 1錠(ダポキセチン60mg) |
|---|---|
| 服用タイミング | 性行為の1〜3時間前 |
| 服用頻度 | 24時間以内に1回まで |
| 服用方法 | 水またはぬるま湯で服用(噛まずに飲み込む) |
| 効果持続時間 | 服用後約1〜3時間 |
服用上の注意
- 1日1錠を超えて服用しないでください
- 食事の影響は少ないですが、空腹時の方が吸収がやや速い傾向があります
- 服用前後のアルコール摂取は避けてください。めまい・失神のリスクが高まります
- 毎日の継続服用は不要です。性行為の都度、必要に応じて服用してください
Atsuプリリジーとアルコールの併用は、起立性低血圧(立ちくらみ)や失神のリスクを著しく高めるため避けてください。
性行為の前に飲酒する習慣のある方は、プリリジー服用時にはアルコールの量を極力控えるか、飲酒そのものを避けることが重要です。
服用後にめまいやふらつきが現れた場合は、転倒を防ぐためにすぐに横になるか、座った状態で頭を膝の間に下ろす姿勢をとってください。
症状が治まるまでは、車の運転や危険を伴う作業を行わないようにしましょう。
プリリジーの副作用
一般的な副作用
以下の症状はセロトニン濃度の上昇に伴うもので、服用を重ねるうちに軽減していく傾向があります。
| 副作用 | 症状の詳細 | 頻度 |
|---|---|---|
| 吐き気 | 最も一般的な副作用 | 高頻度 |
| めまい・ふらつき | 立ちくらみを伴うことがある | 高頻度 |
| 頭痛 | 軽度〜中程度 | 中程度 |
| 口の渇き | 口腔内が乾燥する | 中程度 |
| 下痢 | 消化器症状 | 中程度 |
| 傾眠・疲労感 | 眠気やだるさ | 低頻度 |
重篤な副作用(まれ)
以下の症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 失神(起立性低血圧) ─ めまい、吐き気、動悸、脱力感、発汗の後に意識を失う
- セロトニン症候群 ─ 高体温、筋肉の硬直・けいれん、興奮、発汗、下痢、頻脈(セロトニン作動薬との併用時に起こりやすい)
- 躁状態・攻撃性の出現 ─ 気分の異常な高揚や攻撃的な行動
禁忌(服用できない方)
- ダポキセチンに対してアレルギーのある方
- 心不全、重度の虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のある方
- 心臓の伝導障害(房室ブロック、洞不全症候群など)のある方
- 躁うつ病またはてんかんのある方
- 起立性低血圧や失神の既往歴がある方
- 重度の肝障害のある方
- 18歳未満の方、65歳以上の方
Atsu失神はプリリジーの特徴的な副作用の一つであり、臨床試験でも報告されています。
服用後に吐き気、めまい、ふらつき、動悸、脱力感、発汗といった前兆(前駆症状)が現れた場合は、転倒による外傷を防ぐためすぐに横になるか、座って頭を膝の間に下ろす姿勢をとってください。
脱水状態、アルコール摂取、長時間の立位は失神リスクを高める要因となります。
服用前に十分な水分を摂り、アルコールを避けることで予防につながります。
プリリジーと他の薬との相互作用
プリリジーはセロトニン系に作用する薬のため、以下の薬剤との併用には特に注意が必要です。
MAO阻害薬(モノアミン酸化酵素阻害薬)
セレギリン、ラサギリンなどのMAO阻害薬との併用は、セロトニン症候群のリスクを著しく高めます。
- MAO阻害薬との併用は禁忌です
- MAO阻害薬の中止後14日間はプリリジーを服用しないでください
SSRI・SNRI・三環系抗うつ薬
パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリンなどのSSRI・SNRI、およびアミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬との併用は、セロトニン症候群のリスクが高まります。
- 抗うつ薬を服用中の方はプリリジーを使用できません
- 抗うつ薬の中止後7日間(フルオキセチンは中止後14日間)はプリリジーを服用しないでください
ED治療薬(PDE5阻害薬)
シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス)、バルデナフィル(レビトラ)などのED治療薬との併用により、起立性低血圧のリスクが高まる可能性があります。
- ED治療薬との併用は慎重に行い、めまいやふらつきが現れた場合は服用を中止してください
- 併用する場合は事前に医師に相談してください
強力なCYP3A4阻害薬
ケトコナゾール、イトラコナゾール(抗真菌薬)、リトナビル(抗HIV薬)などの強力なCYP3A4阻害薬は、ダポキセチンの血中濃度を上昇させ副作用のリスクを高めます。
- 強力なCYP3A4阻害薬との併用は禁忌です
セント・ジョーンズ・ワート
セント・ジョーンズ・ワートを含むサプリメントは、セロトニン作用を増強しセロトニン症候群のリスクを高めます。
- プリリジー服用中はセント・ジョーンズ・ワートを含む製品の使用を避けてください
プリリジーの注意事項
- 1日1錠を超えて服用しないでください
- 服用前後のアルコール摂取は避けてください(失神リスク増大)
- 服用後にめまいやふらつきが現れた場合は、車の運転や危険を伴う作業を避けてください
- 脱水状態を避け、十分な水分を摂取してください
- 抗うつ薬やその他のセロトニン作動薬を服用中の方は使用できません
- 高温多湿・直射日光を避け、室温で保管してください
- こどもの手の届かない場所に保管してください
プリリジーのよくある質問
プリリジーはどのくらい射精を遅らせることができますか?
臨床試験では、ダポキセチン60mgの服用により射精までの時間が初回で約2.8倍、24週間の継続服用で約4.3倍に延長されています。
効果には個人差がありますが、継続して服用するほど射精コントロールの改善が期待されます。24週間の継続で72.4%の方に早漏の改善が認められています。
プリリジーとバイアグラなどのED治療薬は一緒に飲めますか?
併用は可能ですが、起立性低血圧(立ちくらみ・めまい)のリスクが高まるため慎重な対応が必要です。
ED治療薬との併用を検討する場合は、事前に医師に相談してください。併用中はアルコールの摂取を避け、急な立ち上がりにも注意してください。
毎日飲む必要がありますか?
毎日の服用は不要です。プリリジーはオンデマンド型の薬であり、性行為の1〜3時間前に必要な都度服用します。
ダポキセチンは体内から速やかに排泄されるため蓄積の心配がなく、必要なときだけ使える点が大きな利点です。
お酒を飲んでいても服用できますか?
プリリジーの服用前後のアルコール摂取は避けてください。ダポキセチンとアルコールの併用は、起立性低血圧や失神のリスクを著しく高めます。
どうしても飲酒する場合は、少量にとどめ、立ち上がる際はゆっくりと行ってください。
プリリジーとジェネリック(ポゼットなど)の違いは何ですか?
有効成分・含有量・期待できる効果はすべて同じです。プリリジーは先発医薬品(最初に開発された薬)であり、長年の使用実績とブランドの信頼性があります。
ジェネリック(ポゼット、ダポキシーなど)は同一の有効成分で価格が抑えられています。品質や信頼性を重視する方はプリリジー、コストを重視する方はジェネリックという選択肢があります。
プリリジーに関連する添付文書等の参考資料
プリリジーの有効成分ダポキセチンに関する参考資料を以下に掲載します。
- Priligy (dapoxetine) – EMA
- Dapoxetine for the treatment of premature ejaculation: results from a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial in 22 countries – PubMed
- Efficacy of Dapoxetine in the Treatment of Premature Ejaculation – PMC
- Dapoxetine for the treatment of premature ejaculation: a meta-analysis of randomized controlled trials with trial sequential analysis – PMC