ゲスチン(前立腺肥大症治療薬:パーセリン ジェネリック)
ゲスチン(Gestin)は、前立腺肥大症の治療に用いられるパーセリン錠25mg(アリルエストレノール製剤)のジェネリック医薬品です。有効成分アリルエストレノールは合成黄体ホルモン(プロゲスチン)の一種で、前立腺内でアンドロゲン(男性ホルモン)と競合拮抗することにより、前立腺の肥大を抑制します。
1日2回の服用を16週間継続することで、排尿困難や夜間頻尿といった前立腺肥大症の症状改善が期待できます。先発品パーセリン錠は持田製薬が製造販売していましたが現在は販売中止となっており、ゲスチンは同一成分を含有するジェネリック医薬品として利用されています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
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ゲスチンの概要
- 有効成分アリルエストレノール5mgを含有する前立腺肥大症治療薬
- 先発品パーセリン錠25mg(持田製薬・販売中止)のジェネリック医薬品
- 前立腺内でアンドロゲンと競合拮抗し、前立腺の肥大を抑制・縮小する
- 1回5錠(25mg)を1日2回、朝と晩に服用(治療期間は16週間)
ゲスチンの製造元はウォルターブッシュネル(Walter Bushnell Pharmaceuticals Private Limited)社です。1915年にインドで設立された老舗の製薬会社で、製剤の製造からAPI(原薬)の製造まで手がけ、6大陸に製品を輸出しています。
| 商品名 | ゲスチン(Gestin) |
|---|---|
| 内容量 | 10錠 |
| 効果・効能 | 前立腺肥大症 |
| 有効成分 | アリルエストレノール 5mg |
| 副作用 | ・性欲減退 ・勃起不全 ・肝機能障害 ・貧血 ・胸やけ など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | ウォルターブッシュネル(Walter Bushnell) |
Atsuアリルエストレノールは、日本国内でも「パーセリン錠25mg」として持田製薬から製造販売されていた実績のある成分です。
前立腺肥大症に対する有効性は国内臨床試験で確認されており、パーセリン錠の添付文書(旧版)およびインタビューフォームによると、排尿困難や残尿感などの自覚症状に対して約59〜68%の改善率が報告されました。
ゲスチンは1錠あたり5mgのため、1回5錠で先発品パーセリン1錠分(25mg)に相当します。
ゲスチンはこんな方におすすめ
- 前立腺肥大症による排尿困難や頻尿に悩んでいる方
- 夜間頻尿で睡眠の質が低下している方
- 先発品パーセリン錠の販売中止後に同等の治療薬を探している方
- 前立腺肥大症の治療費を抑えたい方
ゲスチンの有効成分について
ゲスチンの有効成分はアリルエストレノール(Allylestrenol)です。アリルエストレノールは合成黄体ホルモン(プロゲスチン)に分類される成分で、前立腺細胞内に選択的に取り込まれ、テストステロン(男性ホルモン)の前立腺への取り込みを阻害する抗アンドロゲン作用を持ちます。
前立腺肥大症はテストステロンが前立腺内で活性型のジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで進行します。アリルエストレノールはこのテストステロンの取り込み自体を阻害するため、前立腺の肥大を抑制し、縮小効果が期待できます。
また、アリルエストレノールは純粋なプロゲスチンとして作用し、エストロゲン作用やグルココルチコイド作用を持たない点が特徴です。このため、ホルモン製剤にありがちな女性化乳房などの副作用が比較的起こりにくいとされています。
Atsuアリルエストレノールは経口投与後、肝臓で活性代謝物に変換されて薬効を発揮するプロドラッグです。
抗アンドロゲン作用に加え、下垂体に対するネガティブフィードバックを介して黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制し、テストステロンの産生を低下させる機序も報告されています。
これにより、アンドロゲン依存性の前立腺増大を多面的に抑制することが期待できるでしょう。
なお、5α還元酵素阻害薬(フィナステリドやデュタステリド)とは作用機序が異なるため、治療方針については主治医とご相談ください。
ゲスチンの効果・効能
- 前立腺肥大症に伴う排尿困難、残尿感、頻尿(昼間・夜間)の改善
ゲスチンは前立腺肥大症による下部尿路症状の改善に効果を発揮します。国内の臨床試験では、アリルエストレノール25mgを1日2回、16週間投与した結果、排尿開始遅延・排尿困難・尿線の低下などの症状に対して59〜68%の改善率が認められています。
また、前立腺の縮小効果も確認されており、超音波検査による測定で約13%の縮小が報告されています。夜間頻尿の回数も有意に減少するため、睡眠の質の改善にもつながるでしょう。
効果の発現には一定の期間が必要です。一般的に2〜4週間ほどで自覚症状の改善が始まり、16週間の服用で最大の効果が得られるとされています。
ゲスチンの服用方法
| 1回の用量 | 5錠(アリルエストレノールとして25mg) |
|---|---|
| 服用回数 | 1日2回(朝・晩) |
| 服用タイミング | 食後 |
| 治療期間 | 16週間 |
ゲスチンは1回5錠(アリルエストレノールとして25mg)を1日2回、朝と晩に食後に服用してください。治療期間は16週間が標準です。
使用上の注意
- 1錠あたり5mgのため、1回分は必ず5錠を服用してください。自己判断での増量・減量は避けてください
- 万が一飲み忘れた場合は、気づいた時点で速やかに服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、いつも通りのスケジュールで服用を続けましょう
- 2回分を一度に服用しないでください
- 食後に服用することで胃腸への負担を軽減できます
ゲスチンの服用中に注意すべき検査
ゲスチンの服用中は、いくつかの検査値に影響が出る場合があります。定期的な検査を受けることで、安全に治療を継続できます。
PSA(前立腺特異抗原)検査
アリルエストレノールは抗アンドロゲン作用により、服用中のPSA値を低下させることが報告されています。PSAは前立腺がんのスクリーニング検査に用いられる重要なマーカーです。服用中にPSA値が低下することで、前立腺がんの発見が遅れる可能性があります。
PSA検査を受ける際は、ゲスチンを服用中であることを必ず医師に伝えてください。正確なPSA値を測定するためには、少なくとも2ヶ月間の休薬が必要とされています。服用中のPSA値のみで前立腺がんの有無を判断することは避けるべきでしょう。
肝機能検査
ゲスチンの服用中はAST(GOT)、ALT(GPT)、LDH等の肝機能検査値が上昇する場合があります。定期的に肝機能検査を受け、異常が認められた場合は医師の指示に従ってください。
AtsuPSA値の低下は抗アンドロゲン療法に共通して見られる現象であり、ゲスチン服用中にも同様の傾向が認められます。
一般に、抗アンドロゲン作用を持つ薬剤の休薬後、PSA値が投与前の水準まで回復するには数週間〜数ヶ月を要するとされています。
前立腺がん検診を予定している場合は、検査の少なくとも2ヶ月前から休薬を検討しましょう。
ただし、自己判断での休薬はお勧めできません。
必ず主治医にご相談のうえ、休薬の是非と時期をご判断ください。
ゲスチンの禁忌・副作用
禁忌(使用してはいけない方)
以下に該当する方は、ゲスチンを使用しないでください。
- 重篤な肝障害のある方
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
副作用
ゲスチンの主な副作用は以下の通りです。副作用の多くは服用期間中に一過性に現れ、服用を中止すると改善します。
| 関係部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 生殖器 | ・女性化乳房 ・性欲減退※ ・勃起不全※ |
| 肝臓 | ・AST(GOT)上昇 ・ALT(GPT)上昇 ・LDH上昇 ・ビリルビン上昇 |
| 消化器 | ・胸やけ ・吐き気 ・食欲不振 ・嘔吐 |
| 血液 | 貧血、白血球減少 |
| 皮膚 | 発疹、蕁麻疹 |
| 循環器 | 動悸、息切れ |
| 代謝 | 高血糖、中性脂肪上昇 |
| その他 | ・めまい ・倦怠感 ・体重増加 ・むくみ ・眠気 ・腰痛 ・発汗 ・熱感 |
※5%未満の頻度で報告(それ以外は頻度不明)
Atsuパーセリン錠のインタビューフォームによると、国内臨床試験における副作用の発現率は22.7%(150例中34例)と報告されています。
最も注意が必要なのは肝機能障害です。AST(GOT)やALT(GPT)の上昇が認められた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
性欲減退や勃起不全については5%未満の頻度で発生するものの、服用中止により回復することが確認されています。
異常を感じた場合は自己判断で放置せず、医師または薬剤師にご相談ください。
ゲスチンの他の薬との相互作用
ゲスチン(アリルエストレノール)と他の薬との重大な相互作用は現時点で報告されていませんが、以下のカテゴリの薬を服用中の方は注意が必要です。
併用に注意すること
他のホルモン製剤
テストステロン補充療法やその他のホルモン製剤を併用すると、ゲスチンの抗アンドロゲン作用が減弱する可能性があります。
- テストステロン製剤との併用は、ゲスチンの効果を打ち消す可能性があるため避けてください
- 他のホルモン製剤を使用している場合は、事前に医師にご相談ください
肝代謝に影響を与える薬剤
アリルエストレノールは肝臓で代謝されるため、肝代謝を促進または阻害する薬剤との併用で血中濃度が変動する可能性があります。
- 抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン等)は肝代謝を促進し、ゲスチンの効果を減弱させる可能性があります
- 抗真菌薬(ケトコナゾール等)は肝代謝を阻害し、ゲスチンの血中濃度を上昇させる可能性があります
- 現在服用中の薬がある場合は、医師または薬剤師にご確認ください
血糖降下薬
ゲスチンは高血糖を引き起こす可能性があるため、糖尿病の治療薬を服用中の方は血糖値の変動に注意が必要です。
- インスリン製剤や経口血糖降下薬を使用中の方は、ゲスチンの服用開始後に血糖値をこまめに確認してください
- 血糖コントロールが乱れた場合は、主治医に相談のうえ治療方針を見直してください
ゲスチンの注意事項
- 心臓疾患または腎臓疾患のある方は、服用前に医師に相談してください
- ポルフィリン症の方は症状が悪化する可能性があるため、服用を避けてください
- 高齢の方は副作用が現れやすい傾向にあるため、体調の変化に注意してください
- 服用中はPSA値が低下するため、前立腺がん検診を受ける場合は医師にゲスチンの服用を伝えてください
- 16週間の治療期間を超えて服用を続ける場合は、必ず医師の判断を仰いでください
- 本剤は女性への適応はありません
ゲスチンのよくある質問
ゲスチン(アリルエストレノール)の承認適応は前立腺肥大症のみです。前立腺がんの治療薬としては承認されていません。
また、ゲスチンの服用中はPSA値が低下するため、前立腺がんの早期発見が難しくなる場合があります。定期的な前立腺がん検診を受けている方は、必ず医師にゲスチンの服用を伝えてください。
ゲスチンは1錠あたりアリルエストレノール5mgを含有しており、1回の治療用量は25mgです。先発品パーセリン錠は1錠25mgでしたが、ゲスチンは1錠5mgのため、5錠で同じ用量になります。
5錠を一度に服用することが難しい場合は、水を多めに用意し、数回に分けて飲み込むとよいでしょう。
ゲスチンの服用を中止すると、前立腺肥大症の症状が再び現れる可能性があります。アリルエストレノールは前立腺の増大を抑制する薬であり、根本的に前立腺肥大症を治癒させるものではありません。
ただし、16週間の治療後も改善効果がしばらく持続する場合があります。服用の継続・中止については、主治医と相談のうえ判断してください。
ゲスチンとα遮断薬の併用は一般的に可能です。α遮断薬は前立腺や膀胱頸部の平滑筋を弛緩させて排尿を改善する薬であり、ゲスチンとは作用機序が異なります。
ただし、併用する場合は必ず医師に相談のうえ、血圧低下やめまいなどの副作用に注意してください。
ゲスチンに関連する添付文書等の参考資料
以下は、ゲスチンの有効成分であるアリルエストレノールに関する公的な参考資料です。